著者
村越 重雄 上門 敏也 張 清芬 桜井 成 田村 三郎
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.26-30, 1976
被引用文献数
2

葉を主体とした地上部のメタノール抽出物が,カイコの生育に悪影響を与えることを確認した4種類の植物に含まれる活性成分を単離し,それらの成分のカイコの生育におよぼす影響を調べた。<br>1. キバナオランダセンニチに含まれる活性成分はspilantholであった。spilantholを人工飼料中に200ppm添加すると,すべての幼虫は6日後までに死亡した。<br>2. ジギタリス中の活性成分はdigitoxinにdigitalinが加わったものであると推定された。digitoxinは25ppmで虫体を軟化させ,100ppmで6日後にすべての幼虫を死亡させた。digitalinでは100ppmで虫体の軟化が見られたが,400ppmでも死亡するものはなかった。<br>3. コブシの活性成分としてsesaminとkobusinが単離された。kobusinは新しく見い出された化合物で,400ppm添加飼料を与えると,幼虫に強い生育阻害が見られ,すべてのものが5日後に死亡した。sesaminはkobusinの約1/2の活性を示した。<br>4. キツネノマゴからは活性成分として,justicidin AとBが単離された。justicidin Aでは20ppm添加飼料を与えると6日後にすべての幼虫が,Bではほとんどの幼虫が死亡するという強い活性が認められた。
著者
吉野 一 KOWALSKI Rob BRANTING Kar RUESSMANN He HERBERGER Ma ASHLEY Kevin BERMAN Donal HAFNER Carol 桜井 成一朗 北原 宗律 原口 誠 加賀山 茂 松村 良之 HELMUT Ruess ROBERT Kowal MAXIMILIAN H KEVIN D Ashe DONALD H Ber CAROLE D Haf RUESSMAN Hel
出版者
明治学院大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

本研究は、国際統一売買法を対象領域として、成文法国である日本および西ドイツと判例法国であるアメリカ合衆国の研究者が、それぞれの法体系の特徴である「ルールに基づいた推論」と「事例に基づいた推論」の論理分析を行ない、それぞれの推論のシステム化の研究成果を交換するとともに、共同でルールの解釈と類推適用のメカニズムを解明し、それに基づいて、ルール型の推論システムと事例型推論システムとを融合させることを目的とした。平成5年度において次の点が達成された。(1)本国際共同研究によって、大陸法系の「ルールに基づいた推論」と英米法系の「事例に基づいた推論」の論理構造がそれぞれおおよそ明らにされた。(2)「ルールに基づいた推論」と「事例に基づいた推論」の相互関係、両者を融合させる道が明らかとなった。すなわち、法ルールの解釈において事例に基づく推論を利用する方法が明らにされた。(3)法的知識の表現方法として、論理流れ図の方法と複合的述語論理式(CPF)による方法とが確立された。(4)CISG(国連売買条約)の第2部契約成立の部分の論理構造が解明された。そしてそれが、開発された知識表現方法である(日本語と英語版の)論理流れ図およびCPFによって、コンピュータ上に表現された。この表現形式を共通の表現形式として用いることに日米の研究者の合意が形成された。(5)CISGの論理流れ図表現を対象に日・米の研究者が議論したが、これは異なる言語、異なる法文化を持つ日米の両国の法律家の間によいコミュニケーションを実現する方法であることが判明した。(6)CISGの法解釈学的諸論点が明らかとなった。また解釈の違いと背景となる法文化の関係が明らかになった。(7)ドイツ側の研究者は、英語、ドイツ語およびフランス語のマルチ言語のCISGのハイパーカードシステムを完成した。またCISGのドイツ語テキスト文からそれに対応する述語論理式を半自動生成する知識獲得支援実験システムを作成した。次の点で成果はあげつつも、当初計画をそのままの形で実現することはできなかった。(1)ルール型推論システムおよびルールからの類推実験システムを作成した。しかし、ルール型推論システムをアッシュレ-などの事例型推論システムと結合させるまでには至らなかった。従ってまた、ルールに基づいた推論と事例に基づいた推論を融合するシステムの実装も実現できなかった。(2)述語論理式から日本語文および英語文を生成する試験システムを作成したが、日本語と英語の法律知識ベースを融合するためのインターフェースを作成するまでには至らなかった。(3)研究のまとめ方と研究成果の執筆分担の取り決めがなされたが、年度内に本国際学術共同研究の成果報告書を作成することができなかった。これらは研究を進めるに従って問題の深さが明らかになり、安易にシステムの実装を急ぐより、研究の基礎を固めることにより努力した結果でもある。とはいえ、本国際学術共同研究によって、複数の言語で表現され、しかし条約として合意されたことによって一つの内容を持つCISG(国連売買条約)を対象にし、また大陸法系の成文法主義(ルール主義)の法的推論と英米法系の事例主義の法的推論を比較検討し、それを両者を融合させる方向で人工知能システムとして実現しようと努力したことによって、一方において、同法の諸論点が明らかになったとともに、異なる言語および法文化に属する法律家間のコミュニケーションの方法が提供された。本研究は比較法の新たなメソッドを提供した。他方において、人工知能研究にとっても、事例にもとづく推論で法ルールの解釈を支援するシステムの実現方法が確立された点で、有意義な成果を挙げたといえる。
著者
桜井 成 藤岡 昭三
出版者
理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

1.ブラシノステロイドの新たな生合成経路ニチニチソウ培養細胞の内生ブラシノステロイドとして、これまでに同定された6位にケトン基をもつ一連のブラシノステロイドのほかに、6-デオキソ系のブラシノステロイドの存在を見い出した。このことは、先に我々が実証した6位がまず酸化されてからブラシノステロイドが生成する経路、"早期C6酸化経路"、とは異なる新たな経路も、この培養細胞で働いていることを示している。重水素ラベルの6-デオキソ系ブラシノステロイド中間体を培養細胞に与え、その代謝をGC-MS分析により追究した結果、6-デオキソティーステロンが、3-デヒドロ-6-デオキソティーステロン、6-デオキソティファステロールを経て6-デオキソカスタステロンに変換された後、6位が酸化されてカスタステロン、ブラシノライドが生成する'後期C6酸化経路"が明かとなった。2.シロイヌナズナ(アラビドプシス)のブラシノステロイド生合成変異株最近、ブラシノステロイドを欠損したアラビドプシスの矮性変異株が見い出され、det2変異株については、DET2遺伝子が哺乳動物のステロイド還元酵素とホモロジーのあることが明かにされている。J.Choryのグループと共同研究により、det2変異株と野生株との内生ステロイドを調べたところ、det2ではカンペスタノールのレベルが野生株に比して著しく低く、det2変異株は、ブラシノライド生合成の最初の前躯体であるカンペステロールをカンペスタノールに変換する段階が欠損しているものと推定された。今後、これら変異株を用いた解析により、ブラシノステロイドの生合成酵素やその発現調節に関して分子レベルでの追究へ展開を図りたい。