著者
下川 倫子
出版者
摂南大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

粉体に加えた外力がある臨界値を越えると粉体は動き出す。これを粉体の集団運動としてみると、静止した固体から流動化した液体に相転移が起こっているとみなすことができる。粉体の相転移現象を理解することを目指し、斜めに傾いた容器に粉体を入れ、振動加える実験を行った。この実験で粉体は重力に逆らって,斜面を登る。斜面上部に輸送される過程の中で、粉体は容器表面に様々なパターンを自発的に形成する。外力が大きくなるにつれ、表面には縞パターン,クラスターパターン,バブルパターン,無秩序パターンが出現する。また、独立に鉛直方向と水平方向に振動をかける実験から、鉛直方向だけのときよりも、水平方向の振動モードを加えたときのほうが斜面上部に粉体が輸送しやすくなることから、水平方向の振動モードは粉体を輸送する上で重要であることがわかった。さらに、高速度カメラの観察から、粉同士の衝突による相互作用が表面パターンを形成する上で重要であることもわかった。