著者
下村 剛 藤浪 麻美 油布 邦夫 齋藤 聖多郎 竹中 隆一 中嶋 辰徳 三城 英昭 岡田 憲広 髙橋 尚彦 坂本 照夫
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.671-679, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
14

大分県では2017年4月17日より,大分県遠隔画像伝送システムへの機能追加の形でクラウド型12誘導心電図伝送システムの運用を開始した。各消防本部に1台ずつのクラウド心電計を配置し,伝送には,既存のタブレット端末および回線を利用した。このシステムでは5地域中核病院を含む18施設が参加し,大分県の広い範囲を網羅している。運用開始から 2018年3月12日までに,111件(男性71例・女性40例:平均年齢75.6±12.7歳)の心電図伝送を行った。搬送先は,救命救急センター36例,PCI施設36例,地域中核病院32例で,そのほか7例あった。緊急心臓カテーテルが行われた22例(19.8%)の72.7%がACSであり,PCIが行われた14例は,コントロール群に比べ,有意にdoor to balloon time(DTBT)が短縮した。また,心電図所見からACSが否定的な45例(40.5%)は,近隣の施設で対応することにより不必要な遠隔地への搬送が回避できた。
著者
下村 剛志 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2019-OS-146, no.11, pp.1-10, 2019-05-23

メモリは外的要因によるビットフリップやモジュールの故障により保存したデータが呼び出せなくなることがある.特に In-Memory Key-Value Store(In-Memory KVS)はメモリを大量に使用するのでメモリページのエラーに遭遇する可能性が高いアプリケーションの一つである.しかし,In-Memory KVS はメモリ上に全ての key-value を展開しており,再起動にかかるコストが高い.既存研究では ECC などの誤り訂正符号を用いたエラーの回復を行っているが,広範囲に渡るメモリのエラーには対応できていない.本論文では,メモリに部分的な故障が生じたとしても,In-Memory KVS を継続して稼働可能にする手法を提案する.提案手法では OS Kernel と In-Memory KVS を連携させ,メモリページのエラー発生時に破損ページに保存されていたデータオブジェクトの回復処理を行い,動作を継続させる.本研究では Linux Kernel 4.13.9 と memcached 1.4.39 に提案手法の実装を行った.評価実験を行い,メモリエラー発生時でも約 3 秒のダウンタイムでスループットの劣化無しに動作が継続することを確認した.