著者
矢野 正 下村 容子 橋本 健次郎 金谷 末子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.107-118, 1993-08-01
被引用文献数
12

照度レベル, および, 光源の光色が高齢者と若年齢者の色識別性に与える影響を調べるために100hueテストを用いて実験検討した。実験条件は, 照度レベルが10, 100, 1000lxの3条件で, 相関色温度が3000, 5000, 6700Kの3段階で, 光源として3波長域発光形蛍光ランプを用いた。その結果, (1)照度レベルが1000lxの場合は, 高齢者, 若年齢者ともに光源の光色によって色識別性に差はなかったが, 照度レベルが100lxの場合は, 高齢者のみで, その識別性が3000Kと6700Kとで差がみられ, 照度レベルが10lxでは, 高齢者, 若年齢者ともに光源の光色によって色識別性に差が生じた。(2)高齢者は若年齢者の色識別能カよつどの色相でも劣り, 特に紫赤色系で劣った。(3)各色票に対するエラースコアは, 隣合う色票の色相差と関係があった。(4)高齢者が若年齢者と同等に色識別を有するためには約1.5倍の色相差が必要であった。