著者
下間 実
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.235-240, 1963-12-25
被引用文献数
1

スイカの果実および種子の砂質の遺伝現象を栽培種の1品種,地大和(V.No.1)とアフリカ原産の野生型の2系統(V.No.3および5)に一ついて調べた。 野生スイカの果皮には縞模様があり,果肉は白色で苦味物質を含むもの(V.No.3)と含まないもの(Y.Nc,5)があり,種子は白色(V.No.3)あるいは褐色(V.No.5)で大型である。地大和の果皮は縞がたく、果肉は赤色で甘味をもち,種子は褐色で中型である。これらのF_1雑種の果実は結果皮で果肉は白色,種子は褐色,中型で,苦味×無味(または甘味)は苦味,無味×甘味は無味である。果実の大きさおよびおもさに関してはF_1雑種は両親のほぼ中間型である。F_2では果皮の模様は縞(49)と無縞(24),果肉の苦味形質は苦味(47)と無苦味(17),種子の大きさは中型(77)と大型(24)に一分離し,分離比はいずれも3:1でそれぞれ前者が後着に対して優性でメンデル性1因子遺伝をする。果肉色はF_2において白(62),黄(10)および赤(2)の3色に分離し,その分離比は12:3:1である。果肉色の遺伝は2因子が関与し,白色はWY,黄色はwY赤色はwyによって表わされ,WはYに対して上位に働く。