著者
李 慧瑛 下髙原 理恵 峰 和治 田松 裕一 緒方 重光
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.515-521, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)

近年,医学系分野でテキストマイニングへの関心が高まっている。この手法は看護学領域においては,臨床で起こる現象を掴むための定性的調査手法として,アンケート調査の自由記述やインタビュー調査の逐語録分析に用いられることが多い。また,文献データベースから得られる情報を基に,研究動向を概観する研究にも使用される。本稿では,研究対象として医中誌Web上で検索可能なテキストマイニングを活用した全論文を例に挙げて,研究動向をテキストマイニングの手法を使って分析した。この過程を通して,具体的にどのような新知見が得られるかについて考究し,これをベースとして医学系分野におけるテキストマイニング全般の将来展望について概括する。
著者
李 慧瑛 下髙原 理恵 緒方 重光
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.643-649, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

本稿では,テキストマイニングを用いて自然言語文から未知の知見を見つける際の強みと弱みについて述べる。医中誌Webで,「情報」「科学」「技術」をキーワードとして検索した論文表題の分析例を参照しながら,強みと弱みを考察する。強みとして,人手では扱えないような膨大な量のデータに対して,数値を分析対象とする量的分析(多変量解析)と文字を分析対象とする質的分析(形態素解析)の両方を行うことが出来る。一方,弱みとして数値化されたデータでは表現できない現象の世界を分析する場合,暗黙知を抽出して形式知に置換する過程に課題が残る。
著者
西本 大策 李 慧瑛 緒方 重光 下髙原 理恵 峰 和治 新橋 澄子 深田 あきみ
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学医学部保健学科紀要=Bulletin of the School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kagoshima University (ISSN:13462180)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-49,

研究目的は、看護学生が認識する成長を明らかにし、看護教員が認識する成長の概念と比較することである。ポートフォリオを導入した領域別実習前半終了時と後半終了時における成長報告書の自由記述をテキストマイニングの手法を用いて分析した。学生84名と教員13名の自由記述データを計量テキスト分析の手法を用いて分析した。成長報告書10語以上の頻出語分析結果において、学生が認識する成長は「リフレクション」から「獲得した力」へと変化していた。また、実習前後の自己組織化マップでは、4群のカテゴリーが抽出された。対応分析による抽出後の全体的布置において、学生と教員では成長と認識する内容に相違があることが分かった。学生は、知識や看護技術の向上を「自己の成長」と捉える傾向があり、一方、教員は学生の3領域のバランスに配慮しながらも特に情意領域の「感性」を重視していることが示唆された。PURPOSE: The present study aimed to reveal information about the growth experienced by nursing students through analysis of free written reports on development. METHODS: Reports were written before the first half and after the second half of domain-variant practicums that had introduced portfolios. The nursing students' reports were compared to nursing faculty's ideas on perceptions od development. Free written data iof 84 students and 13 faculty members were analyzed using quantitative text analysis. RESULTSandCONCLUSION: Analysis of 10 frequently appearing words within the developmental reports indicated that the perceived growth of students changed from ""reflection"" to ""abilities obtained."" Four categories were extracted from self-organizing maps from before and after practicum. Differences were observed in content perceived as showing growth between students and faculty in overall arrangement of sampled words from correspondence analysis. Knowledge and enhanced skills in nursing tended to be perceived by students as ""self-growth,"" whereas faculty were particularly focused on the emotional domain of ""sensitivity,"" taking into consideration the balance of the three domains; congnitive domain, affective domain and psychomotor domain.