著者
李 慧瑛 深田 あきみ 新橋 澄子 横山 美江 橋本 智美 下高原 理恵 西本 大策 緒方 重光
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
看護科学研究 (ISSN:24240052)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.20-31, 2016-08

研究目的は、ポートフォリオを用いた臨地実習における成長報告書の自由記述を内容分析し、学生の内省傾向を明らかにすることである。看護学生72名の自由記述データを計量テキスト分析の手法を用いて、共起ネットワークの作成と対応分析を行った。共起ネットワークの構造分析の結果、「成長ベスト3」「学んだこと」「獲得した力」それぞれの項目で3〜5群のカテゴリーが抽出された。振り返りの大切さに気づいた学生が、より高い看護実践能力の向上を目指して努力する内省が読み取れた。対応分析による抽出語の全体的布置において、「獲得した力」が第1成分の寄与率の高いプラス側第1象限に位置しており、「成長ベスト3」と「学んだこと」を区別する基準軸になっていると考えられた。第1成分のプラス側には、「活かす」「力」「今後」の語が並んでおり、学生は応用力を獲得していると考えられる。しかし、それを「成長」としては捉えておらず、「学んだ知識や技術」を「自己の成長」と捉える傾向がある事が示唆された。
著者
西本 大策 李 慧瑛 緒方 重光 下髙原 理恵 峰 和治 新橋 澄子 深田 あきみ
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学医学部保健学科紀要=Bulletin of the School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kagoshima University (ISSN:13462180)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-49,

研究目的は、看護学生が認識する成長を明らかにし、看護教員が認識する成長の概念と比較することである。ポートフォリオを導入した領域別実習前半終了時と後半終了時における成長報告書の自由記述をテキストマイニングの手法を用いて分析した。学生84名と教員13名の自由記述データを計量テキスト分析の手法を用いて分析した。成長報告書10語以上の頻出語分析結果において、学生が認識する成長は「リフレクション」から「獲得した力」へと変化していた。また、実習前後の自己組織化マップでは、4群のカテゴリーが抽出された。対応分析による抽出後の全体的布置において、学生と教員では成長と認識する内容に相違があることが分かった。学生は、知識や看護技術の向上を「自己の成長」と捉える傾向があり、一方、教員は学生の3領域のバランスに配慮しながらも特に情意領域の「感性」を重視していることが示唆された。PURPOSE: The present study aimed to reveal information about the growth experienced by nursing students through analysis of free written reports on development. METHODS: Reports were written before the first half and after the second half of domain-variant practicums that had introduced portfolios. The nursing students' reports were compared to nursing faculty's ideas on perceptions od development. Free written data iof 84 students and 13 faculty members were analyzed using quantitative text analysis. RESULTSandCONCLUSION: Analysis of 10 frequently appearing words within the developmental reports indicated that the perceived growth of students changed from ""reflection"" to ""abilities obtained."" Four categories were extracted from self-organizing maps from before and after practicum. Differences were observed in content perceived as showing growth between students and faculty in overall arrangement of sampled words from correspondence analysis. Knowledge and enhanced skills in nursing tended to be perceived by students as ""self-growth,"" whereas faculty were particularly focused on the emotional domain of ""sensitivity,"" taking into consideration the balance of the three domains; congnitive domain, affective domain and psychomotor domain.
著者
丹治 史也 南部 泰士 柿崎 真沙子 嶋谷 圭一 西本 大策 黒澤 昌洋
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.69-79, 2023-02-25 (Released:2023-03-16)
参考文献数
22

背景 : 看護系大学のIR活動・業務の実態, IR組織の担当項目と他の看護系大学と比較したい項目の差を検討した. 方法 : 看護系大学48校・424名を調査対象とした. 結果 : 回答者116名のうち51名 (44.0%) が「IRの名称・役割ともに知っている」, 82名 (70.7%) が「IR組織がある」に該当した. IR組織の担当項目と比較したい項目ともに教学関連が多く, 入学志願者・卒業生調査では比較したい項目での割合が高かった (p<0.05). 考察 : 看護系大学ではIR組織の設置が先行し認知度が低く, また現状の分析項目と他大学と比較したい項目にはギャップがあるため, 各大学でIRの共通理解を図ることが課題である.