著者
讃井 和子 世利 謙二 井上 修二
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.133-137, 1997-04-10
参考文献数
10
被引用文献数
6 14

小腸スクラーゼ活性を選択的に阻害するL-アラビノースを<SUP>14</SUP>C-スクロースとともにラットに投与し, 6時間までの呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量および消化管内<SUP>14</SUP>C-残存量を測定した。その結果,<BR>1) <SUP>14</SUP>C-スクロース摂取後6時間までの呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量は, 同時に投与したL-アラビノースによって有意に抑制された。L-アラビノースの作用は用量依存的であり, 50mg/kgおよび250mg/kg投与群の抑制率はそれぞれ31.7%, 45.6%であった。<BR>2) ラットにおけるスクロース負荷後の血糖上昇も同時に投与したL-アラビノースによって有意に抑制された。<BR>3) 呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量および血糖上昇に対して, L-アラビノース50mg/kgは作用比較物質アカルボース1.5mg/kgと同等の抑制作用を示した。<BR>4) L-アラビノース投与群では<SUP>14</SUP>C-スクロース摂取から6時間後において盲腸および結腸部に多量の残存<SUP>14</SUP>Cが認められた。<BR>以上の結果から, L-アラビノースはスクロースとともに摂取した場合, スクロースの消化吸収を抑制し, そのエネルギー利用を低下させると結論された。