著者
亀岡 弘 中井 勝久 宮沢 三雄
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1763-1768, 1988
被引用文献数
1

マメ類の揮発性フレーバー成分を解明する目的で,白あん原料の本斗六豆について,その揮発性油(V<sub>A</sub>)と,実際の製あん時と同様な割合でしょ糖などを加えて煮熟したものの揮発性油(V<sub>B</sub>)を水蒸気蒸留により得た.これらをシリカゲルカラムクロマトグラフィー分画を行い,それぞれ4区分に分画した.各区分についてGCおよびGC-MSを中心に成分を検討し, V<sub>A</sub>より76成分を, V<sub>B</sub>より77成分を同定した.<br> V<sub>A</sub>ではhexadecanoic acid (<i>ca</i>. 22%), V<sub>B</sub>では4-vinylguaiacol (<i>ca</i>. 33%)が主成分であった.両者の共通成分として, maltol, vanillin, phenethyl alcohol,アルカン,直鎖アルコールおよびアルデヒド,カルボン酸など55成分を確認した.<br> また, V<sub>A</sub>とV<sub>B</sub>との成分組成を比較すると, V<sub>B</sub>ではV<sub>A</sub>に比べてフラン化合物,アルデヒド類,芳香族化合物が4~7倍の増加をみせた.