著者
中井 孔人
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.25-35,194, 2007

2005年の総選挙は自民党が296議席を獲得し大勝した。「小泉劇場」といわれた今回の選挙にテレビの報道は多大な影響を与えたといわれている。日々のニュースは郵政民営化を巡って繰り広げられる自民党内の争いに終始し,野党の存在を置き去りにした。自民党は争点設定の主導権を握り,さらには「映像」というテレビの特性をうまく利用して「劇場」を盛り上げ選挙に勝利することに成功した。小選挙区においては報道の公平さがより一層重視されるにもかかわらず,なぜ特定の政党•候補者に利すると有権者が感じる報道がなされたのか。実際の夕方の全国ニュースを中心に項目の頻度や内容を検証しながらどこに問題点があったのかを見ていく。また,CMも含めて今回の選挙報道が次回からの報道にいかなる影響を及ぼしていくのか。テレビメディアの課せられた問題は多く,メディア自身の検証が求められている。