著者
中井 紀代子
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.53-71, 2008-03-31

80年代末、「1.57ショック」と呼ばれる社会問題化した少子化傾向に対して、政府は少子化に歯止めをかけるために数かずの施策を打ち出したが、依然として少子化は進行している。本稿では政府の政策の変遷を整理し、その効力の評価を行い、関連する諸問題の分析を通して少子化克服のための課題を提起した。出生率を高めるための条件を、家族政策のなかの女性が仕事と育児を両立できる労働環境と子育て支援のあり方に焦点をあててジェンダー視点、即ち女性の自立と男女平等を基本に分析を行った。そして少子化の進行に歯止めをかける近道は、労働時間の短縮、男女性別役割分業の克服、公的責任による福祉・保育政策等にあることを明らかにした。