- 著者
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中野 一茂
- 出版者
- 共栄学園短期大学
- 雑誌
- 共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, pp.29-38, 2010-03-31
- 被引用文献数
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高齢者は筋力、知覚、精神機能の低下等によって予期せぬ事故に遭遇する。それらの中でも転倒・転落は生命の危険、骨折等の障害をもたらす。またその治療の過程において容易に筋力低下や関節拘縮などの廃用症候群と呼ばれる2 次障害や合併症などを引き起こし、生活機能の自立度低下につながったりする。 そのため介護現場では、転倒・転落を防止するリスクマネジメントへの取り組みがなされるようになった。リスクマネジメントにおいて事故の内容やその要因についての調査・分析が重要な課題であることは明らかであるが、高齢者の安全を守りつつ転倒・転落事故発生の対策を考えていくには、発生の傾向と要因の検討は必要不可欠である。 特別養護老人ホーム内(以下、施設と略する)の転倒・転落の特徴、事故発生に関連する諸要因の分析は、国内の先行研究においても充分に行われているとはいい難い。そこで本研究では、A 市内の特別養護老人ホーム4 施設の過去2 年間の事故報告書を用いて、先行研究を参考にして集計を行った。そのデータを基にデータベースを作成して転倒・転落事故の特徴や、事故発生に関連する要因の分析を行った。今回筆者は、その調査結果の中から高齢者本人の直接的な行動、特に排泄時の転倒・転落事故が多いということに着目し、考察を加えることにした。