著者
中原 五十鈴
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・生活造形学研究 (ISSN:0919780X)
巻号頁・発行日
no.25, pp.67-78, 1994-01-31

被服を製作する際に必要且つ適切な「ゆとり」を求めるために,日常生活上の基本的な動作(自然、立位,椅座位,仰臥位の三動作)時のウェスト部位並びに腹部最大突出部位における周径囲と横径の変化と,両部位における前面と側面での皮下脂肪厚の変化を,健康な女子大生を被験者として,超音波Bモード法を用いて測定したところ,次のような結果が得られた。即ち,周径囲・横径共にウェスト部位に比較し,腹部最大突出部位では約10%程度大きい傾向にあった。腹部最大突出部位は周径囲・横径共に自然立位が最大値を示し,椅座位,仰臥位の順に小さくなっていた。皮下脂肪厚では,姿勢変化による差は,各部位・各箇所共に同様な変化を示したが,ウェスト部位に比べ,腹部最大突出部位では,前面において約50%,側面では約20~30%程度多い傾向にあった。この傾向は, BMI並びに肥満傾向の高い者ほど強かった。椅座位での皮下脂肪厚がすべての姿勢において,最も大きい値を示した。これらの結果,両部位の形態的特徴および皮下脂肪厚の程度が,「ゆとり」分量に大きく関与していることが示唆された。