- 著者
-
中原 正幸
- 出版者
- Japan Society of Engineering Geology
- 雑誌
- 応用地質 (ISSN:02867737)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.3, pp.137-148, 1999-08-10 (Released:2010-02-23)
- 参考文献数
- 24
サヘル地帯では, 気候変動や人間活動の影響によって砂漠化が進行している. 本調査は砂漠化防止対策の一環として, 水資源の賦存形態を把握し, その開発について検討したものである.調査地域は, ニジェール, ブルキナファソ両国にまたがるゴルビ川流域である. 流域の降雨は5~9月の雨季にのみ認められ, 年間降雨量は200~1,200mmである. 河川は季節河川であり, 流出は6月に始まり10月上旬に終わる. 年間流量は平均2.6億m3である. 流域の河川は流域面積によって流出状況の区分ができる. 帯水層は大きく三つに区分でき, 先カンブリア時代の花崗岩・変成岩中の基盤岩帯水層, 第三紀のコンチネンタルターミナル層中の第三紀帯水層, および第四紀河床堆積物中の沖積帯水層である. この地下水は年間を通して利用できる. 流域の水循環をタンクモデルによって推定すると, 蒸発散が66%, 河川流出が5%, 地下浸透が29%である.このような水資源の特性を考慮すると, 乾季では地下水やダム貯留水の利用, 雨季には地表水や地下水を利用するのが有効である. 具体的には堰や地下水の涵養をかねた低ダムの築造や, 各帯水層を対象とした井戸開発である.