著者
河村 宜克 藤田 基 井上 智顕 山本 隆裕 古賀 靖卓 八木 雄史 中原 貴志 戸谷 昌樹 金田 浩太郎 鶴田 良介
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.552-556, 2023-08-31 (Released:2023-08-31)
参考文献数
9

トンネル内で急性一酸化炭素(carbon monoxide,以下COと略す)中毒患者が多数発生した事例において,隣県のドクターヘリコプター(以下ドクヘリと略す)とともに傷病者7例を高気圧酸素(hyperbaric oxygen,以下HBOと略す)治療装置のある4施設に分散搬送したので報告する。トンネル内で作業員が倒れているとの情報で,ドクヘリが覚知要請された。 現場到着時,傷病者はトンネル内で,発電機を複数台持ち込み作業していたとの情報から,急性CO中毒を疑った。傷病者は7例で19〜58歳,全員歩行不能であり,JCS 1桁であった。 経皮的カルボキシヘモグロビン濃度は,測定可能であった4例では30%前後であった。最終的に救急車で直近のHBO治療装置保持施設に3例,次に近い施設に1例搬送した。山口県ドクヘリで2例,広島県ドクヘリで1 例をさらに離れたHBO治療装置保持施設2施設へ分散搬送した。
著者
藤田 基 古賀 靖卓 中原 貴志 戸谷 昌樹 宮内 崇 金子 唯 金田 浩太郎 河村 宜克 小田 泰崇 鶴田 良介
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.663-669, 2014-10-31 (Released:2015-01-24)
参考文献数
24

過去10年間に当院で初期治療を行った急性一酸化炭素(以下CO)中毒患者69例を24時間以内に行った治療で気管挿管群(9例),酸素マスク群(20例),HBO群(40例)に分け,高気圧酸素(以下HBO)治療が間歇型の発症予防及び間歇型・遷延型の症状改善に有用かを後方視的に検討した。間歇型を気管挿管群1例,酸素マスク群1例,HBO群2例に,遷延型を気管挿管群2例,酸素マスク群1例,HBO群1例に認めたが,どちらも各群間で症例数に有意差は認めなかった。間歇型症例は全例発症後に複数回HBO治療が施行され,酸素マスク群の1例を除く3例で症状は改善した。遷延型症例はHBO群の1例のみ慢性期に繰り返しHBO治療が施行され,症状改善を認めた。当院のプロトコールによるHBO治療では間歇型の発症予防効果は明らかでなかった。発症した間歇型・遷延型の治療としてのHBO治療は有用である可能性が示唆された。