著者
中園 嘉巳 田中 久弥 井出 英人
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.23-28, 2003-02-01
被引用文献数
1

指タッピング法を用いて,予測ボタン押し動作における予測精度を測定した.被験者には,ブザー音が周期的(インターバル:0.8,1.1,1.3,1.9秒)に繰り返し呈示され,a)音を聞きながら,あるいはb)音に合わせてボタンを押しながら,最後のブザー音の後に予測したインターバルの経過を待って,指でボタンを押すように指示された.ボタンが押されるまでの時間が予測時間として,インターバルの実時間との差が予測誤差として測定された.結果,被験者15名において,インターバルの長さと予測誤差の大きさとに相関が認められた.その内9名では,インターバル1.9秒において予測時間が実時間より10%を越えて有意に減少した.音に合わせたボタン押し動作を伴った場合b),対照例a)と比較して,予測時間の変動係数(CV)が有意に減少した.つまり,周期的運動を行うことによって予測時間の精度が向上した.この結果は,心理学的時間知覚と生理学的周期運動との連関を示唆する.