著者
中子 富貴子
出版者
一般社団法人日本福祉のまちづくり学会
雑誌
福祉のまちづくり研究 (ISSN:13458973)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.1-9, 2010-01-15

福祉制度の綻びが指摘される現代においてバリアフリーの推進はどうあるべきかが改めて問われてきている。本稿は、近年の地域観光の促進を基盤とする地域経済の活性化の動向を踏まえ、着地型観光を基軸としたバリアフリー・ツーリズムのあり方を検討し、併せてヨーロッパのソーシャル・インクルージョンという政策理念やソーシャル・ファームの実践を検討し、そこから一つの方向性を提示する。その際、市場原理主義のみに立脚しないで社会的経済の観点をも視野に入れ、社会関係資本の形成と「地域の相対化の論理」による地域の主体的な内発力の蓄積が、バリアフリー・ツーリズムのみならず地域社会と経済の活性化に不可欠な要素となる。