著者
久米 大祐 喬 穎 中山 珠里 保川 清 島尻 佳典 伊東 昌章
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.15-20, 2021 (Released:2021-02-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究では, シマグワ (Morus australis) 葉から製造したパウダーを配合したパン (シマグワパン) の血糖値上昇抑制効果を検証することを目的とした。実験1では, シマグワパンの機能性解析として, 1-デオキシノジリマイシン (1-DNJ) 含有量, α-アミラーゼ[3.2.1.1]およびマルターゼ[3.2.1.20]阻害活性を評価した。実験2では, 健常成人を対象として同パンの食後血糖値上昇に対する抑制効果を検証した。実験1の結果, 製パン時に1-DNJ含有量は減少するものの, シマグワパンには1-DNJが残存していることが示された。シマグワ葉パウダーにα-アミラーゼ阻害活性は認められなかった。シマグワパンは, シマグワ葉パウダーそのものよりもマルターゼに対する50%阻害濃度は高値を示すものの, マルターゼ阻害活性を保持していた。実験2の結果, シマグワパンを摂取した後は, 通常のパンを摂取した後よりも, 血糖値およびインスリン値の上昇が抑制された。本研究の結果から, シマグワパンの血糖値上昇抑制効果が明らかとなった。