- 著者
-
中山 秀貴
- 出版者
- 日本農作業学会
- 雑誌
- 農作業研究 (ISSN:03891763)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.4, pp.195-201, 2010-12-20 (Released:2011-06-20)
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
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トマト施設栽培において,安定的な着果を得るために,花へのホルモン処理は不可欠である.ホルモン処理は果房を機械的に振動させる振動受粉法(接触振動受粉)に比べ省力的であるが,空洞果比率が増加する可能性がある.一方,振動受粉の空洞果比率はホルモン処理に比べ小さいが大きな労働力を要する.筆者は,送風機を用い発生する風によりトマト果房を振動させる新しい振動受粉法(送風振動受粉)を開発した.そこで,送風振動受粉,接触振動受粉,およびホルモン処理実施時における作業時間,着果率,空洞果比率について調査した.着果促進処理に要する株あたりの作業時間は,送風振動受粉,接触振動受粉,ホルモン処理でそれぞれ2.8秒,7.5秒,6.7秒であった.送風振動受粉では週に2回から3回の処理が必要であったが,一方,ホルモン処理では週に1回の処理で十分であった.これらのことから,送風振動受粉の10aあたりの処理作業時間は96ないし82時間と試算され,ホルモン処理とほぼ同等であった.また,送風振動受粉とホルモン処理で作業強度に大きな違いがないことも推察できた.送風振動受粉における着果率はホルモン処理と同等であり,また,空洞果の発生は見られなかった.これらの結果により,送風振動受粉がトマトハウス栽培における安定着果に有効であることが示された.