著者
岡 大祐 関根 芳岳 大津 晃 青木 雅典 林 拓磨 馬場 恭子 中山 紘史 栗原 聰太 宮尾 武士 大木 亮 宮澤 慶行 柴田 康博 鈴木 和浩
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.155-158, 2021 (Released:2021-03-28)
参考文献数
9

自己血管による内シャント(arteriovenous fistula: AVF)は本邦における慢性透析用バスキュラーアクセスの中で最も多い.AVF造設術は一定の割合で不成功例を認めるが,本邦において大規模RCTは行われておらず,AVFの初期開存に影響を与える因子の詳細な解析は行われていない.今回AVF造設術を施行した症例群をレトロスペクティブに解析し,初期開存に影響を及ぼす因子を解析した.対象とした119例の内,シャント閉塞をきたした症例は15例(12.6%)であり,初期開存に影響を与える因子として有意差を認めた項目は深部静脈血栓症(deep vein thrombosis: DVT)の既往のみであった.過去の論文にて開存率に影響を与える因子とされている,性別,年齢,糖尿病の既往などの因子よりも,血栓素因の有無がAVF初期開存に重要な影響を与える可能性が示唆された.