著者
小橋 重親 井齋 偉矢 富山 知隆 中島 俊彦 竹田 眞
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.109-113, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
12

流涙や眼脂の原因となる鼻涙管狭窄症に対しては,鼻涙管ブジー法が一般的に行われている治療法である。鼻涙管ブジー法で軽快しない57歳,女性の涙目に柴蘇飲を投与したところ,3日で軽快したことを経験した。その後の検討で,成人11例中10例(90.9%)において柴蘇飲が鼻涙管狭窄症に有効であった。成人は全例,眼科で鼻涙管狭窄の診断を受けており,うち9例が鼻涙管ブジー法を行っていた。また幼児の流涙2症例も柴蘇飲の投与で,1週間で流涙が改善した。鼻涙管狭窄症による流涙に対しては,柴蘇飲が治療の選択肢になり得ると考えられた。
著者
中島 俊彦 鈴木 信彦
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.602, 2005 (Released:2005-03-17)

ある特定の花に選択的かつ連続的に訪花する行動を一貫訪花という。モンシロチョウには一貫訪花とランダム訪花の2つの訪花パターンがみられることが知られている。野外では花蜜をめぐる多くの競争者がいるため、蜜のある花とない花が存在する。したがって、モンシロチョウは報酬の得られる確率により一貫訪花を行うか否かを決定している可能性が考えられる。そこで本研究では花の蜜含有確率がモンシロチョウの訪花パターンに及ぼす影響について調査した。 蜜含有確率の異なる実験区(A;100%、B;50%、C;25%、D;12.5%)を設け、黄色と青色の人工花を交互にそれぞれ8花ずつ配置したケージ内でモンシロチョウの訪花行動を観察した。訪花した花の報酬の有無や訪花する花色の推移を記録し、Bootstrap法によりその個体の訪花パターンを解析した。 実験区A,Bでは同色花推移率が高く、一貫訪花をする個体が多くみられた。実験区C,Dでは同色花推移率は比較的低く、ランダム訪花をする個体が多くみられた。一貫訪花をした個体とランダム訪花をした個体が経験した蜜獲得確率はそれぞれ62.3%と16.4%であった。また、一貫訪花した個体とランダム訪花をした個体のどちらも蜜のある花に訪花した後は高い確率で同色花に訪花した。一方、蜜のない花に訪花した後の異色花へ訪花する確率(switching率)は一貫訪花をした個体で9.2%、ランダム訪花をした個体で48.2%であった。また、異色花へのswitchingの意思決定にはそれまでの訪花履歴(蜜獲得率や蜜のない花への訪花頻度など)は関与していないことが判明した。これらのことからモンシロチョウは報酬が得られれば同色の花に訪花するというルールに基づいた訪花をしていることが示唆された。よってモンシロチョウは蜜含有確率の高い花では一貫訪花をする確率が高く、効率よく採餌をしていると考えられた。