著者
小橋 重親 井齋 偉矢 富山 知隆 中島 俊彦 竹田 眞
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.109-113, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
12

流涙や眼脂の原因となる鼻涙管狭窄症に対しては,鼻涙管ブジー法が一般的に行われている治療法である。鼻涙管ブジー法で軽快しない57歳,女性の涙目に柴蘇飲を投与したところ,3日で軽快したことを経験した。その後の検討で,成人11例中10例(90.9%)において柴蘇飲が鼻涙管狭窄症に有効であった。成人は全例,眼科で鼻涙管狭窄の診断を受けており,うち9例が鼻涙管ブジー法を行っていた。また幼児の流涙2症例も柴蘇飲の投与で,1週間で流涙が改善した。鼻涙管狭窄症による流涙に対しては,柴蘇飲が治療の選択肢になり得ると考えられた。