著者
中島 利幸
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.502-507, 1960-07-20 (Released:2011-10-21)

エチレンは製油所の副生ガス中には少量しかふくまれていないため, その大量製造には特にこの目的のために炭化水素を熱分解しなければならない。エチレン製造の原料はエタン, あるいはプロパンのようなLPGと石油留分あるいは原油のような液状炭化水素とに大別されるが, 日本, 英国, ヨーロッパなどでは主に石油留分, 特にナフサが原料として使用されている。製造方法は, ナフサを約30lb/in2g, 700~800℃ の所定条件で分解したのち, 分解ガスはアセチレン, 炭酸ガス, 硫化水素などの不純物が除去されるよう精製され, ついで蒸留により各留分に分別される。製造工程は分解工程, 予備蒸留工程, 分解ガスの精製工程, 低温蒸留工程および高温蒸留工程にわかれており, 低温蒸留工程では0℃ 以下の低温および高圧で蒸留をおこなうため, 分解ガス中の水分の除去装置および大規模の冷凍装置が必要とされる。製造工程からでる製品としては, 主製品のエチレンのほか, 水素のメタンの混合物である副生ガス, エタン, プロピレン, ブタジエンを相当量ふくんだC4留分, ペンタン留分, ベンゾール, トルオールキシロールなどを多量ふくんだ高オクタン価の分解ガソリンおよび重油がある。