著者
中島 友紀
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-25, 2015 (Released:2015-03-10)
参考文献数
32
被引用文献数
4

骨は,脊椎動物特有な運動支持の器官であると共に,生命維持に必須なカルシウムなどミネラルの代謝器官であり,免疫系細胞の分化増殖の場となる造血器官でもある.骨と免疫系は,骨髄微小環境をはじめ,サイトカイン・受容体・転写因子などの制御分子を共有し緊密な関係にある.関節リウマチにおける炎症性骨破壊の研究は,両者の融合領域である骨免疫学に光を当てた.破骨細胞分化因子RANKLのクローニングに加え,種々の免疫制御分子の遺伝子改変マウスに骨の異常が見いだされ,骨免疫学の発展を加速させた.近年では,骨の細胞と造血幹細胞の関係も解明され,骨免疫学がさまざまな疾患の制御に重要な知見を提供するようになった.