著者
中島 彩乃 古屋 正貴
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成23年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.2, 2011 (Released:2012-03-01)
参考文献数
8

近年ベトナムなどから産出するブルースピネルに、以前のブルースピネルのような暗い青ではなく、変成岩起源のサファイアのように鮮やかな明るい青のものが見られるようになった。市場では、その色の濃いものはコバルトスピネルや、パステルカラーから薄いカラーチェンジスピネルの名称で販売されているようである。(ツーソン2011) 青い天然のスピネルは、1980年代に一部コバルト着色であるものが含まれることが発見され、それまでのコバルトは天然石の色原因とはならないという常識から外れるもので驚きを持って受け入れられた。(Fryer, 1982) これらいわゆるコバルトブルースピネルの着色原因とその色について調査を行った。 分光器を使う伝統的な宝石学としてGem Testingを見ると、ブルースピネルはコバルト着色のものと、鉄着色のものがあることが示され、その違いは基本的にコバルト着色のものはベルヌイの合成石の特徴であり、鉄着色は天然石の特徴として示され、鉄着色の天然石は459nmの強く大きな吸収バンドの他、555nm、592nm、632nmの3つの吸収を特徴とし、コバルト着色の合成石は540nm、580nm、635nmの3つの吸収バンドがあるとされている。また、分光光度計を用いた研究では先のものに加え、天然の鉄+コバルトで着色されたものの吸収ピークが示され、429.5nm、434nm、460nm、510nm、552nm、559nmが鉄による吸収、575nm、595nm、622nmがコバルトが影響したものとして示された。(Shigley, 1984) また黄色~赤色の3つの吸収については、鉄による555nm、590nm、635nmの吸収は、コバルトによる550nm、580nm、625nmと非常に似ているとした研究もあった。(Kitawaki, 2002)ブルースピネルの分光パターンにはこのような詳細な研究が行われてきた。 このようにこれまでも研究されてきた吸収のパターンを踏まえて、タンザニア、スリランカ、ベトナム、およびベルヌイ法合成のブルースピネル、44石の分光スペクトル、蛍光X線成分分析、およびLA-ICP-MSによる成分分析の着色元素の含有率と比較・調査し、分光スペクトルの特徴と着色原因の特徴との関係を調べた。