著者
高木 弘 小林 章二 岡田 秀親 中島 泉 磯部 健一 林 衆治 KOBAYASHI S
出版者
名古屋大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1994

異種臓器移植において生ずる超急性拒絶反応を抑制するためには、異種抗原、自然抗体、補体系の制御が重要である。本研究では、補体制御因子遺伝子は、同時に複数遺伝子導入した方が、異種免疫反応抑制効果が強いというin vitroでの実験結果を基に、DAFおよびHRF20遺伝子を同時に導入したダブルトランスジェニックマウスを作成し、機能解析を行った。そして、この結果を基にDAF,HRF20,およびmembrane cofactor protein(MCP)を導入したトランスジェニックブタを作成した。異種抗原Gal α Galに対する対策として、マウスembryonic stem(ES)細胞でα(1,3)GT遺伝子のダブルノックアウトを行い、機能解析を行った。また、α(1,2)FT遺伝子を異種培養細胞へ遺伝子導入した場合、Gal α Gal抗原の発現が抑制され、異種免疫反応が抑制されるというin vitroの実験結果を基に、a(1,2)FT遺伝子導入トランスジェニックブタを作成した。したがって、補体制御因子遺伝子を発現し、かつ異種抗原GalaGalを発現しないトランスジェニックブタの作成は、異種臓器移植の臨床応用にとって重要であると考えられた。