著者
塩田 昌弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

フランスのレンヌ大学のFichouと共同研究を行い、2つの問題を解決した。1つは、解析的関数の芽の分類に関するある特異点理論の未解決問題。2つめは、 Milnor fiberに関する問題。1つの論文を発表し、1つの結果を書いている。またイギリスのマンチェスター大学Tressleと共同研究をし、1つの問題を解決した。問題はArtinの近似定理の位相的証明で、良く知られた予想問題である。その結果は今書いている。そのほか、兵庫教育大学の小池敏司氏と埼玉大学の福井敏純氏と特異点理論の共同研究をして、1つの論文を発表し、1つの結果を書いている。
著者
伊藤 尚子 木下 康仁 金 永子 文 鐘聲
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、在日コリアン高齢者と韓国人高齢者の抑うつにかんする要因を明らかにすることである。研究初年度にあたる本年度は、研究の全体像を把握するため文献等資料収集を行った。その結果をまとめ現在、論文投稿の準備を行っている。文献収集に合わせて、収集した量的データから、研究に関する新しい知見を得ることを目的に、在日コリアン高齢者の抑うつ傾向の関連因子の再分析を行った。結果として、抑うつ傾向者が47.8%にみられた。抑うつ傾向者は、朝鮮半島で生まれ日本に移民した在日コリアン1世高齢者(65.6%)が、日本で生まれた在日コリアン2世高齢者(42.0%)に比較して有意に高く、年齢、性別、出生地、治療中の疾患と婚姻状況に関係なく、家族親戚と電話などの間接的なやり取りをする頻度、友人と直接会う頻度、友人と電話など間接的なやり取りをする頻度、外出頻度、また、趣味を楽しむ機会が少ない群ほど抑うつ傾向の割合が有意に高くなる傾向がみられた。在日コリアン高齢者の精神的健康の保持増進のためには、在日コリアン高齢者が家族友人と交流を持つ機会を作ることや、高齢者が近隣で社会活動を確保できる場所づくりが必要であることが示唆され、この結果は論文にて研究報告を行った。しかしながら、これらの傾向が、在日コリアン独自の結果なのかを明らかにするには、日本人高齢者、韓国人高齢者との比較をするなど再検討する必要がある。そのため、日本人高齢者との量的な調査データの比較を行いつつ、在日コリアン介護施設における参与観察、インタビュー等質的な調査も同時に行い、研究2年目には韓国にて質的、量的調査を行うため、関係機関と研究計画など調整を行っているところである。研究結果は随時学会等で発表を行う予定である
著者
山本 敏充 斎藤 成也 徳永 勝士 布施 昇男 (長崎 正朗) 河合 洋介 カラセド アンジェル
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

スペインのコリア・デル・リオ市内及び周辺に住んでいる約800名の「ハポン」姓を名乗る人々のうち、DNA解析希望者男性50名、女性51名から血液試料を採取した。スペインでDNA抽出され、匿名化後、日本で、男性DNA試料について、Y染色体上のSTRsのハプロタイプ解析を行った。また、全てのDNA試料について、ジャポニカ・アレイと呼ばれる日本人に特化された約66万個のゲノムワイドなSNPs解析を行った。その結果、日本人に由来すると考えられるY-STRハプロタイプは観察されず、また、ゲノムワイドなSNP解析からも日本人に由来すると考えられる結果が得られなかった。今後、新しい手法による解析が期待される。
著者
石元 広志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

性行動においてメスは、たとえ同種のオスであっても容易に交尾を受入れない。このメスの交尾意思決定を制御する脳神経機構は未解明である。ショウジョウバエのメスは、多くの動物と同様に、たとえ同種であっても求愛をすぐには受入れない。この交尾前の拒否行動は、交尾の決定権がメスにあることを示し、交尾相手を選択する行動である。このように、メスが継続した求愛を受けて、交尾の拒否から受容へと行動を転換する一連のプロセスを制御する脳神経機構を明らかにする目的で、本研究は、このメスの交尾前拒否行動を制御する責任神経細胞の特定を進めた。その結果、昆虫脳に共通して存在する中心複合体楕円体内の2種類の神経細胞群(各々アセチルコリン作動性神経細胞群とGABA作動性神経細胞群)で構成されるType-I Incoherent feedforward loopを形成する神経回路が、メスの性行動を制御することを突き止めた。また、脳に存在する2対のドーパミン神経細胞が、この回路を駆動すること、特定のドーパミン受容体が回路を構成する神経細胞の活動を制御することを明らかにしている。昨年度は、この回路の動作に一酸化窒素(NO)を介する逆行性シナプス伝達制御が関与すること見出し、当該神経回路の動作調節機構の一端を明らかにした。本年度は、分子解剖学的手法を用いて、当該神経回路と上流の神経群の接続を詳細解析し、フェロモン等のオスの情報を集約する脳の領域との解剖学な接続関係を明らかにした。さらに楕円体は、運動機能にも重要な役割を担う。そこで、これら神経機能を阻害することによる歩行速度の低下と交尾潜時の相関を検討した。以上の成果を集約して、本年度論文として出版することができた。また、各種メディアを通じて研究成果を社会一般に発信した。
著者
南 雅代 中村 俊夫 平田 和明 長岡 朋人 鵜澤 和宏 Hoshino Keigo
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.18, pp.134-143, 2007-03
被引用文献数
2

第19回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成18(2006)年度報告<第2部> Proceedings of the 19th symposiumon on Chronological Studies at the Nagoya University Center for Chronological Researchin 2006 日時:平成19 (2007)年1月15日(月)~17日(水) 会場:名古屋大学シンポジオン Date:January15th-17th, 2007 Venue:Nagoya Uhiversity Symposion Hall
著者
伊藤 友一 ITO Yuichi
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2016

identifier:http://hdl.handle.net/2237/24347
著者
佐藤 純
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.気象病の病態機構を探るため、日常体験する程度の寒冷(22℃から15℃)、低気圧(大気圧から27hPa減圧)がラットの自律神経パラメータに与える影響を調べた。低気圧により心拍数と血圧は一過性に上昇した。心拍間隔変動値(LF/HF値)も速やかに上昇した。曝露後はすみやかに曝露前値に戻った。低温により血圧・心拍数は徐々に上昇した。LF/HF値は曝露直後に速やかに上昇した。曝露後は曝露前値にゆっくりともどった。以上より、両曝露は血圧・心拍数,交感神経活動を異なった時間経過で上昇させることが分かった。2.坐骨神経損傷により,SD, Wistar, Lewisラットの安静時の平均血圧,心拍数は術後4〜11日に上昇した。一方,副交感神経活動の指標である心拍間隔変動値(HF値)は術後15日以降に上昇した。よって,神経損傷により,早期には交感神経優位,その後は副交感神経優位の自律神経バランスになることが分かった。術後4-19日目において低気圧の効果を繰り返し調べたところ,Lewisラットにおいて特に平均血圧と心拍数が増加が著しかった。慢性痛病態は自律神経系の低気圧反応を変化させるが,その効果には系統差がみられることが明らかになった。3.気圧検出器官が内耳に存在する可能性を実験的内耳破壊ラット用いて検証した。SDラット一側の坐骨神経絞扼手術または脊髄神経(L4)結紮術を施し慢性痛ラットを作成した。両側の中耳腔に鼓膜を介して砒素を注入し前庭破壊を施した。後肢足底に圧刺激を与え逃避行動を観察した。低気圧は、神経損傷群でみられた痛覚過敏行動を増強したが、この効果は前庭破壊によって消失した。一方、低温曝露でみられた痛覚過敏行動の増強は、前庭破壊の影響を受けなかった。以上から、気圧センサーが内耳器官に存在する可能性が示唆された。
著者
坪木 和久 伊藤 耕介 山田 広幸 中山 智喜 篠田 太郎 高橋 暢宏 新垣 雄光 大東 忠保 山口 宗彦 森 浩一 松見 豊
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2016-05-31

2017年度および2018年度に航空機を用いて観測した2つの台風について、ドロップゾンデデータの補正を行ったうえで解析し、台風の構造の特徴をあきらかにした。2018年台風第24号の進路予報の大外し事例を対象として観測システム実験を行った。予報精度の比較的良かった数値予報センターの解析値を疑似ドロップゾンデデータとして同化しても、予報精度の改善は見られなかった。背景場の台風渦が弱く、観測データでは台風渦を適切に修正できていないことが原因と考えられた。また、衛星搭載合成開口レーダによる海上風観測の検証として、ドロップゾンデデータによる現場観測のデータが利用可能性を調査した。2018年台風第24号に関する高解像度シミュレーションを行った。その結果、台風停滞時の顕著な台風と海洋との相互作用により、中心気圧が50hPa程度上昇し、温度と水蒸気勾配を逆転させるなど、内部コア構造の変質が起きていたことが明らかとなった。2019年8月末に名古屋大学の雲レーダを沖縄県瀬底島に設置し、台風の上層雲の観測を実施した。その後、次年度の観測のため、2020年2月末に名古屋大学の雲レーダを沖縄県与那国島に設置した。台風と豪雨の研究と国際共同研究計画について、台湾において国際ワークショップを開催し、米国、台湾、韓国、及び日本の台風研究と将来計画について情報交換と議論を行った。2018年および2019年に沖縄近海を通過した合計7個の台風について、接近時の風速とエアロゾル粒子の重量濃度の関係について調べたところ、平均風速が10 m/s増加するに従い、エアロゾル粒子の重量濃度が50μg/m3程度増加することがわかった。2019年度は、沖縄島に台風が接近した台風時を含め、継続的に大気エアロゾルを採取し、海塩および溶存有機炭素濃度を調べた。大気エアロゾル中の海塩含有量は、風速とよい正の相関を示すことが分かった。
著者
鳥居 ゆか
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

HHV-6感染が証明された症例をAESD(Acute encephalopathy with biphasic seizures and late reduced diffusion)タイプの脳症と診断された症例と、痙攣重積を起こしたが、その後意識回復良好で脳症に至らなかった症例の2群にわけ、それぞれ脳脊髄液エクソソーム中のマイクロRNAの発現プロファイルの比較解析を行った。髄液よりmiRCURY exosome isolatiom kitを用いてエクソソームを分離後、miRCURY RNA Isolation Kit Cell and Plantを用いてRNA抽出を行った。抽出したRNAからNEB Next Multiplex Small RNA Library Prep Set for Illuminaを用いてマイクロRNAのライブラリを作成した。作成したライブラリをMiseqでシーケンスを行った。脳症5例、対症5例の計10サンプルの解析を行い、出力したデータからマイクロRNA発現量を標準化して(RPAM: reads per annotated reads per million)比較解析をした。結果、10症例においてのべ292種のマイクロRNAが検出された。比較解析の結果、FDR(False Discovery Rate)<0.05を満たすのはmiR-381-3pのみであった。mir-381-3pは脳症群で有意に検出された。ターゲット遺伝子予測サイト(miRanda, Target Scan, mirDB)を用いて検索したところ、mir-381-3pの標的となると予測された遺伝子にはGRM8など神経伝達に関わる遺伝子もあり、病態との関連が考えられた。今回は10症例の検討のみであったが、PCRでの解析システムを確立して、より多くの症例を解析する必要があると思われた。
著者
続 有恒 塩田 芳久 秦 安雄 鈴木 康平 三輪 弘道 名倉 敬子
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.43-58, 1967-03-25

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
中村 俊夫 齋藤 努 山田 哲也 南 雅代
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

石英管内で金属鉄を加熱、酸化して鉄中の炭素を回収する方法を検討した。石英管内に1gの鉄試料と4gの助燃剤(CuO)を封入して、1000℃で15時間加熱した場合、炭素収率は90%程度であり、外来炭素の汚染無しに14C年代測定に必要な炭素量が回収できる。この方法を用いて、日本刀から分取した金属鉄中の炭素を抽出し、年代測定を行い、日本刀の公式な鑑定年代と比較した。公式鑑定は、測定結果とほぼ一致した。出所が不明な日本刀では古すぎる14C年代が得られ、14C年代を基に出所来歴の詳細を検討する必要がある。サビ鉄でも、予想される14C年代が得られたことから、サビ鉄の14C年代測定の実用化が可能になる。
著者
伴 信太郎 西城 卓也
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は慢性疲労症候群(以下CFS)患者に対して、『漢方治療と認知行動療法を融合した集学的な治療戦略を確立』するための研究である。漢方治療に関しては、CFS患者29人を対象に、「証」の推移と治療効果を検討した。初診時の主証は、虚証群13人、実証群16人で、虚証群の罹病期間は、実証群に比して長い傾向を示した。治療開始後3ヶ月間に、証の変化により処方を変更した者は、虚証群62%、実証群56%で、両群間に有意差はなかった。治療6ヶ月後のPSスコアは、両群とも初診時に比して有意に低い値を呈したが、両群間に有意差はなかった。しかし、治療6ヶ月後のPSスコアが治療目標の2以下になった者の割合は実証群で高い傾向を示した。治療の有効性は、虚証群77%、実証群75%で両群間に差は認めなかった。CFS患者の証は多様であり、弁証論治に基づいた漢方治療が有用であること、また、経過中に証が変化する場合も多く随証応変に基づく治療が必要であること、そして、初診時に実証を呈する者の方が、比較的短期間での漢方治療効果が期待できることが示唆された。「慢性疲労症候群のための認知行動療法」に関してはCFS患者13名(中断患者3名含む)を対象として検討した。結果、CFS患者は、「認知的特徴」、「行動的特徴」、「認知・行動意識化の程度」という3次元の軸によってタイプ分けできる可能性が示唆された。また、タイプに応じた認知行動療法は、CFS症状維持のメカニズムに対する患者の理解を促し統制感を高めていることも示された。これらの結果は、患者のタイプに応じた技法を選択適用するといった認知行動療法の弾力的実践と個別的適応の重要性を示唆していると考えられた。
著者
南 雅代 小田 寛貴 小島 貞男 横田 喜一郎 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.13, pp.71-81, 2002-03

第14回名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(平成13 (2001)年度)報告
著者
安井 正佐也 木山 博資 水村 和枝 時實 恭平 校條 由紀 吉村 崇志
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,異なるストレスを負荷した二つのモデル動物(慢性疲労症候群CFSモデル,線維筋痛症FMモデル)の病的疼痛について研究を行った.その結果,いずれのモデルにおいても機械的アロディニアや筋性痛覚過敏が誘発することを実証した.さらに末梢組織に炎症等は認めないが,いずれのモデルにも,腰髄後角でミクログリアの活性化を認めた.このミクログリア活性化を薬剤(ミノサイクリン)で抑制すると,有意に機械的アロディニアおよび筋性痛覚過敏を抑制した.この事から,ストレス負荷によって生じる異常な疼痛の発症に,ミクログリアが大きく関与していることが示唆された.
著者
小田 裕昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

栄養・運動・睡眠は健康の要である。この3つの要素は生物時計という観点で見ると,統合的に制御できると考え、臓器間時計ネットワークの同調を介して代謝を正常化させて健康に結びつけるための分子的基盤を明らかにすることを目指した。摂食リズムが不規則になるモデルとして,ダラダラ食いや,夜食症候群モデルを作成してきたが,ヒトでも起きうる不規則な摂食タイミングとして朝食欠食を取り上げた。朝食欠食は,休息期から最初の食事が数時間だけ遅れるだけであるが,代謝異常が起きることが多くの研究で明らかになっている。朝食欠食モデルを作成して,様々な実験食を与えて,実験を行ってきた。高脂肪食では,肝臓時計と肝脂質代謝のリズムが数時間遅れるが,高コレステロール食では,肝臓時計が変化せずに肝脂質代謝が遅れた。いずれの場合も活動期の体温上昇が遅れることは同じであり,摂食タイミングの数時間の遅れが,脳視床下部の体温中枢へは同じ影響を与えていることがわかった。何を食べるかということと,そのタイミングが相乗的な効果を生んでいることが初めてわかったためその因子を検討しはじめることにした。時計リセット食品の探索の一貫として,まず三大栄養素の中でほとんど検討されてきてこなかった糖質について検討した。スクロースでは,肝脂質代謝の異常が生じることが知られているが,肝臓時計に影響を与えることはなかった。ところが,肝脂質代謝酵素のリズムを大きく変動させていた。これまで脂質代謝酵素のリズムは,肝臓時計の支配下にいると考えてきたが,食事成分が代謝のリズムを独立に制御することが明らかとなった。