- 著者
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中島 章光
- 出版者
- 名古屋大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2008
太陽活動の影響によって磁気嵐やサブストームなどの擾乱現象が発生すると、太陽風エネルギーが磁気圏を介し電離圏に流入する。このエネルギー流入過程を解明するためには、地磁気擾乱時のオーロラ粒子の加速・加熱過程について調べることが重要である。昨年度は、磁気嵐中のサブストーム発生時に、広いエネルギー範囲(50eV-30keV)にわたって降り込み電子が増大する現象"broadband electrons(BBEs)"について調査を行った。本研究によって、BBEsは磁気赤道面で加熱された高エネルギー電子と、より地球近傍で加速された低エネルギー成分により構成されていることが示唆された。磁気嵐中のサブストーム発生時に観測されるBBEsの研究に加え、本年度は、サブストーム回復相において数秒から数十秒の周期で点滅するオーロラ現象である、パルセイティングオーロラについて、その原因となるオーロラ粒子降り込みについての調査を行った。パルセイティングオーロラの生成については、磁気赤道面で粒子が散乱され、数keV~100keVの高エネルギー電子が電離圏へ降り込むというモデルが提案されてきた。しかし、近年では磁気赤道面より地球に近い領域からの粒子降り込みであることが示唆されている。先行研究のほとんどが低高度衛星のデータを用いていたのに対し、本研究ではTHEMIS衛星のデータを用いて、パルセイティングオーロラ発生時の磁気赤道面付近における電子のピッチ角分布の特徴を初めて明らかにした。パルセイティングオーロラ発生時に磁気赤道面付近で1-10keVの電子フラックスが沿磁力線方向に大きく変動し、特に1-5keVの電子のフラックスは、地上から観測したオーロラの点滅とほぼ同じ周期で振動していることを示した。本研究の結果から、パルセイティングオーロラに寄与するオーロラ電子の一部が磁気赤道面付近から電離圏へ降り込んでいる可能性が示唆された。