著者
岡 進 中嶋 義三
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.457-460, 1993-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
5

冷え症24人に対して当帰四逆加呉茱萸生姜本湯を投与しその効果を検討した。本剤は苦みが強く7日目までに3人が服用中止したので, 21人で効果判定を行った。著効は手と足の両者とも冷感が消失したもので5例, 23.8%。有効は手か足の一方の冷感が消失したもので13例, 61.9%。著効, 有効を合せた有効率は85.7%であった。効果発現時期は平均36日目で最短7日目, 最長105日目であった。投与期間は著効例で7.8ヵ月, 有効例で5.8ヵ月であった。無効例は3例, 14.3%であった。効果判定は平均19日目で無効の判定を下し, 投与期間は3.6ヵ月であった。本剤投与著効例では, まず手の冷感が改善し, ついで足の冷感が改善した。それにともない四肢末端の色調の改善, 爪変形の改善がみられた。本剤は「苦み」があり服用しにくいことを訴えるが, 効果があれば長期服用もいとわない漢方薬であり, 冷え症に対して有用である。