著者
中川 結果 上西園 武良
出版者
新潟国際情報大学経営情報学部
雑誌
新潟国際情報大学経営情報学部紀要 = Journal of Niigata University of International and Information Studies Faculty of Business and Informatics (ISSN:24342939)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.121-127, 2019-04-01

日常生活の中で歩行中にスリッパが脱げることは、煩わしく何らかの改良が必要である。この問題に対して、転倒リスクの軽減を図るなど脱離の発生そのものを研究したものはあったが、脱離の阻止に着目した研究は見当たらなかった。そこで本研究では、全てのユーザーが行うと考えられる脱離阻止の行動を強化する方法を用いてスリッパを改良することにより、脱離しにくくすることを目的としている。まず、脱離の種類と発生しやすい状況を明らかにする実験を行った。この結果、脱離の種類には初期残留、空中落下、飛び出しの3つがあること、および発生しやすい状況は滑りやすい靴下(ストッキング)着用時であったことを見出した。次に、阻止行動の特徴を抽出するために、2つの工夫(スリッパ上部を切り取り透明素材を装着した透明スリッパ、および上記の滑りやすい靴下)によって、スリッパ着用時における足指の動きを観察可能にした。この実験的な工夫により、スリッパ着用時の歩行の特徴は、スリッパへの足指の関節押付による摩擦増加と、地面とスリッパ底面角度を小さくするずれ落ち阻止の2タイプに分類できることを実験的に明らかにした。