著者
石川 莞爾 中村 安夫 仁木 良夫 鍬塚 昭三
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.17-25, 1977-02-20
被引用文献数
2

^<14>C-標識および非標識化合物を用いて, 紫外線および太陽光線下でのベンチオカーブの光分解を研究した.水溶液中でベンチオカーブは紫外線により速やかに分解し, 比較した他の7種類の農薬より速やかに分解した.ベンチオカーブの分解生成物として, ベンチオカーブスルホキシド, デスエチルベンチオカーブ, 4-クロルベンジルアルコール, 4-クロルベンツアルデヒド, 4-ヒドロキシベンツアルデヒド, 4-クロル安息香酸のほか, 同定された化合物8種類および未同定の化合物約20種類が検出された.これらのうち, 4-クロルベンジルアルコールおよび4-クロルベンツアルデヒドが多量に生成した.太陽光線下でも水溶液中でベンチオカーブは速やかに分解し, そのさい検出された分解物の大部分は紫外線照射で生成した分解物と同じものであった.ガラス板上の薄層へ紫外線を照射した場合も, 水溶液と同様の分解物が生成した.
著者
石川 莞爾 中村 安夫 鍬塚 昭三
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.127-134, 1977-05-20
被引用文献数
1

室内試験により, 除草剤ベンチオカーブの水溶液および土壌からの揮散について研究した.^<14>C-ベンチオカーブ水溶液に太陽光を照射すると, 水溶液中の放射能は水分の蒸発量に比例して減少した.水溶液中に土壌を添加すると, ベンチオカーブは速やかに土壌層へ吸着移行し, 放射能の揮散は顕著に抑えられた.非湛水土壌の表面に散布したベンチオカーブの揮散は湛水土壌からの消失に比べると, はるかに少なかった.太陽光照射時に水溶液から揮散する放射性物質の半分以上はベンチオカーブ自身であり, 残りは, 生成したP-クロルベンズアルデヒドなどの揮発性の光分解生成物として揮散した.