- 著者
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横尾 義貫
松岡 理
中村 恒義
- 出版者
- 一般社団法人日本建築学会
- 雑誌
- 日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
- 巻号頁・発行日
- no.62, pp.20-24, 1959-07-20
曲げモーメントと捩りモーメントの作用する部材断面の降伏条件についてはHeymann,Hill & SiebelおよびGadon & Nuttallの研究があり、実用上充分な程度まで各種断面形について結果がでている。後の四者の研究によれば、すべての形状の断面について曲げモーメントMと捩りモーメントTを受ける場合の降伏曲線の極めて良好かつ便利な下界曲線は[numerical formula](1・1)で与えられる。ただし、M_0,T_0は夫夫単純曲げおよび単純捩りの場合の降伏モーメントである。たとえば、円形断面の場合の真の降伏曲線は第1図左で示すように、(1.1)の下界曲線からわづかに上にあるだけである。ここでは、次の(1.2)のように近似化した降伏条件を採用する。[numerical formula](1・2)なお、円形断面において、(1.1)と(1.2)の関係を図で示すと第1図右のようになる。(本文Fig. 1.参照)本研究は(1.2)を降伏条件として、等分布横荷重をうける両端固定アーチの載荷能力特性をlimit alnaysisにより求めたものである。えた結果を要約すれば次のようになる。上・下界荷重m_kP,m_sPは一致した。半開角ψの値によつてその表示式はことなるが、上・下界全荷重mP,スパン中央の曲げモーメントM_m,捩りモーメントT_m,両端の曲げモーメントM_e,捩りモーメントT_eは次の値であらわされる。(1)[numerical formula](2)[numerical formula] collapse modeは(1)と(2)でことなる。(2)は両固定端の中心を結ぷ軸のまわりに回転する。(1)のmodeは両固定端を結ぷ軸のまわりの回転と、その軸に垂直、かつアーチ構面に含まれる軸のまわりの回転とが加つたものである。全荷重は(1)、(2)ともにmP=(4M_0/L)ξψsinψであらわされるが、L, M_0を一定とする場合、ψに対するξψsinψの関係を第4図に示す。ψが増加すると載荷能力は単調に減少する。なお、ψを零に近づけた極限として本結果は両端固定梁の降伏全荷重16M_0/Lに一致する。(本文Fig. 4.参照)スパン中央のM_m=cM_0を定めるcとψとの関係を第5図に示す。固定端におけるM_e/M_0,T_e/M_0とψとの関係を第6図に示す。ψ=67.5°でM_e/M_0は最小、T_e/M_0は最大となる。即ち、捩りモーメントは載荷能力にψ=67.5°で最も大きく役立つ、がしかし、M_e/M_0はψの値にかかわらず常に1に近いことを考えると、曲げ抵抗が載荷能力に支配的役割を演じていることを知る。(本文Fig5. Fig. 6.参照)式、図の番号は本文のをそのまま用いた。