著者
中村 理果
出版者
弘前大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

研究目的:男性不妊のスクリーニング検査として精液検査は必要不可欠だが、それには「におい」に関する項目はない。しかし精液のにおいには個人差があり、精液検査所見の悪い場合に特ににおいが強く感じられる。このことから精液のにおい物質を特定し、男性不妊の代表である乏精子症・無力精子症と精液のにおいとの関連について検討する。研究方法:1. 精液を-30℃で保存した後、島津製作所GCMS-Q2010を用いてガスマトグラフ質量分析法で測定を試みた。測定条件を決めるために、においが強く感じられる検体で測定したが何のピークも検出されなかった。2. ヒトの鼻は分析機器よりも感度が上であるため、鼻でにおいを感じても測定濃度以下のこともある。このためGC-MSで微量成分分析を行う際は抽出や濃縮などの前処理が必要なこともあることから、マイクロスケールパージ&トラップーガスクロマトグラフ質量分析法で測定をした。研究成果:マイクロスケールパージ&トラソプーガスクロマトグラフ質量分析法により、におい成分としてアセトアルデヒド、メタノール、イソブタナール、ブタナール、イソオキサゾール、2-ベンタノン、ペンタナール、トリエチルアミン、ピロール、ヘキサナール、2-ヘプタノンが検出された。しかしこれはライブラリー検索の結果得られた推定成分であり、成分の同定には別途標準品を用いた試験が必要である。また今回は定性試験のみであり、時間と予算の都合上定量試験は行っていない。今回は1検体のみの測定であったので今後検体数を増やし、鼻で感じるにおい成分の特定および精液所見との関連にっいて調べていきたい。