著者
加藤 直孝 中條雅庸 國藤 進
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.2629-2639, 1997-12-15

本システムは,主観的評価に基づく代替案選沢問題の解決を対象としたグループ意思決定支援システムである.グループの合意形成プロセスの支援を重視しており,以下の特徴を持つ.(1)グループを構成する意思決定者に意思決定に有益な情報をマルチウインドウ形式で随時表示する対話型システムである.(2)意思決定者個人の価値観に基づく視点を共有することで調整すべきコンフリクト部分の抽出が容易である.(3)感度分析の手法によるトレードオフ分析を用いてコンフリクトの解消に向けた交渉プロセスを支援し,合意への収束度を高める.(4)意思決定者にグループの合意度および各参加者の妥協の度合を提示し意思決定プロセスの変遷を明確に把握できる.本論文では,まず合意形成プロセスを重視したグループ意思決定支援の方針と手順について述べ,次に実際に開発したシステムの機能について説明する.また例題を用いて本システムの利用方法を示し,さらに評価実験に基づいて本システムの有効性を評価する.実験結果からは,本システムとの対話操作を繰り返すことでグループの合意形成の支援に有効であることが確認された.