著者
小柴 等 加藤 直孝 國藤 進
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.96-104, 2008-01-15

本論文では,AHP (Analytic Hierarchy Process)を用いたグループ意思決定場面において,グループ構成員間のコミュニケーションを支援するための機能を提案し,その妥当性を実験により検証する.グループで意思決定を下す場合にはグループ構成員間で対人説得など,様々なコミュニケーションが必要となる.しかし,既存のグループ意思決定支援システムの研究ではコミュニケーション自体に関する支援手法の検討はこれまで積極的になされていなかった.そこで本論文では,グループ構成員間のコミュニケーションを支援するための機能として判断メタ情報を提案する.判断メタ情報は精緻化見込みモデルでいうところの周辺的手がかり,なかでも知識・専門性と関心・配慮の知覚を支援しようとするものである.これにより各グループ構成員が有する知識や価値観に対する気づきが促され,互いの思惑が伝わりやすくなること,つまりは円滑なコミュニケーションの実現が期待できる.今回は"対人説得を遂行するうえで重要となる妥協の引き出しやすさという点での他者の思惑の読み取りに,判断メタ情報が有効である"という仮説について検証した.大学院生を被験者とした実験からは,判断メタ情報のある方が相手からの妥協の引き出しやすさを予測しやすいという傾向が見られ,コミュニケーション支援機能としての判断メタ情報の有用性を支持するデータが得られた. : In this paper, we propose communication support function for AHP (Analytic Hierarchy Process) based GDSS (Group Decision Support System). And, we endeavor to verify the effects of this newly proposed function. When we are in group-decision-making process, it is indispensable to communicate with other group-members. However, existing research on GDSS dose not cover the essential elements of the communicational support function. Therefore, to support the communication among group members, we proposed "Negotiation Meta-Information (NMI), " which acts as a peripheral route determinant in Elaboration Likelihood Model (ELM). Especially, we focused on and tried to support "knowledge, specialty and interest, " and "perception of consideration, " among group members that led to support and share the coexistent, as well as group-oriented values. To evaluate, whether NMI is effective or not to generate some clues regarding the possibilities of compromise among group members, we conduct an experimental test with graduate students. Our results suggest that with NMI environment, it is more effective to read the possibility of compromises, than without NMI environment. Hence, we revealed that NMI as a communicational support in GDSS is useful.
著者
加藤 直孝 有澤 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.22, pp.39-46, 2005-03-10
被引用文献数
2

本稿はソフトウェアのローカライゼーションにおける文字列の翻訳に関するものである。現在の多くのアプリケーション・システムはユーザーとのインターラクションを前提としており、ユーザーとの意思疎通のためにテキストを用いる。このテキスト情報のうちプログラムに統合した情報をProgram Integrated Information (PII)とよぶ。PIIはプログラム中に埋め込まず、プログラムとは分離した外部テキストファイル上に置く。これによりPIIの翻訳者はプログラムのコードとは別に文字列を翻訳できる。ただしPIIを外部テキストファイルにしても、PIIの翻訳には多くの問題が残っている。プログラムの国際化に関して、従来は文字コードやファイルフォーマットと言ったPIIのプログラミングの側面のみを議論してきた。PIIの翻訳や自然言語処理の側面は論じてこなかった。本稿はPIIの自然言語、特に翻訳、の側面に焦点をあてる。まず、PIIには「相」があることを指摘するとともに、PIIのモデルを構成する「Feature」を導入する。そして、それら「相」や「Feature」がPIIの文脈とどのような関係にあるかを提示することにより、PIIの概念構築を行った。今後は構築した概念モデルを活用して、プログラム開発言語、プログラム開発環境、翻訳支援ツール、および自動翻訳プログラムがいかに協調してPIIの翻訳の問題を解くかを議論できる。Most of the application systems require interaction with users. Such applications use text strings to communicate with users. Those strings are integrated in a software and are called "Program Integrated Information (PII)." This paper focuses translation of those text strings from the point of software localization. PII is separated into text files from application system programs. Although this separation enables translators to translate PII without referring the coding of the application system program, it does not solve all the problems that translators face when they translate PII. Computer scientists and engineers that were engaged in the design of PII have not discussed the natural language aspect of PII, but discussed only the programming aspect of PII such as character coding and PII file format. This paper introduces the PII concept of "So" and "Feature" to understand PII from both aspects. Then the conceptual model of PII is presented by relating the "PII Context" to the "So" and "Features."
著者
上田 芳弘 成田 仁志 加藤 直孝 林 克明 南保 英孝 木村 春彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.887-898, 2004-10-01
被引用文献数
3

電子メールやWebを利用した問合せメールを,適切な担当者に自動分配するシステムを構築した.提案手法は,まず各担当者が作成した文書ファイルを収集して,この中の出現単語のtf・idf値とidf/conf値を算出し,この2種類の辞書を担当者ごとに作成する.更に,従来の帰納的学習に代えてProfit Sharingを応用し,これらのウェイトを強化学習することが特徴である.システムは,問合せメールとこれらの辞書を照合して,単語のウェイトと一致率から担当者ごとにスコアを算出し,このスコアが高い担当者を回答者として推定する.提案方法の有効性を評価するために実際の問合せメールを用いて評価実験を行い,以下のような考察をした.(1)問合せメールを分配している専門家の分配精度から実用上必要な精度を明らかにした.(2)tf・idf値とidf/conf値を用いただけの分配では,実用的な分配精度が得られなかった.(3)(2)の単語のウェイトを強化学習することにより分配の専門家と同等な精度で実用的な分配ができた.最後に(3)の実用的な精度を得るための文書ファイル数とノイズに関する評価を行い,更に従来のテキスト分類手法との精度比較を行った.