著者
中沢 知史
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.32-45, 2022 (Released:2022-07-31)
参考文献数
25

ウルグアイで2020年3月に成立したラカジェ・ポウ大統領率いる右派連合政権は、2019年大統領選挙決選投票において5党による選挙協力を行って勝利して以降、安定して政権を運営している。本稿では、任期半ばにさしかかるラカジェ・ポウ政権について、2019年選挙の過程から2022年3月27日実施の国民投票までを記述し、その施政の中間評価を行う。まず第1節では、右派連合政権の成立過程を辿る。つぎに第2節では、ラカジェ・ポウ政権最初の政策を、労働組合との関係、コロナ対策、対外関係、治安政策、そして緊急法の制定に分けて概括する。そして第3節では、任期前半における最大の政治イベントとなった国民投票について、最大の争点となった治安問題の観点から述べ、結果を分析する。最後に、国民投票結果を受けた任期後半および次期大統領選の展望について述べる。本稿を通じて、これまで先行研究で指摘されてきたウルグアイ有権者の投票行動と似た傾向が観察され、高度に制度化された政党政治が堅持されていることを示す。