著者
中瀧 理仁 大森 哲郎
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.145-152, 2013 (Released:2017-02-16)
参考文献数
37
被引用文献数
2

N-methyl-D-aspartic acid(NMDA)受容体遮断薬が統合失調症類似の症状を惹起することから,統合失調症の病因としてグルタミン酸機能低下仮説が提唱された。グルタミン酸系とgamma-amino butyric acid(GABA)系には機能的な関連があり,抑制系神経細胞(GABA作動性介在神経細胞)の機能低下がグルタミン酸系神経の脱抑制を起こし,神経毒性をもたらす可能性がある。統合失調症におけるグルタミン酸系やGABA系の動態を検討するために proton magnetic resonance spectroscopy(1H-MRS)が応用されている。1H-MRSは非侵襲的にGABAやグルタミン酸(Glu),グルタミン(Gln)を分離して定量することが可能である。これまでに行われたMRS研究からグルタミン酸仮説と関連する所見を略述した。