著者
中田 吉英
出版者
一般社団法人 日本家政学会 食文化研究部会
雑誌
会誌食文化研究 (ISSN:18804403)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-8, 2022-12-25 (Released:2023-07-25)
参考文献数
19

本稿では,近世後期から近代の都市部商家における仏事儀礼で供された食事を,京都の商家に残された仏事記録から分析した。商家の当主の死に際して,喪家,親類,奉公人,使用人,出入商人,近隣住民らの間で十数回におよぶ共同飲食がもたれること,その料理の内容に関して仕立てと食材の固定的な関係があること,現代の京料理のイメージと比較して異同があることを示した。また,供応食の担い手として,近世から近代の京都の料理屋のひとつである仕出し屋について検討し,得意先が変わるサイクルと料理の変容,互いの地理的条件,支払いの記録を検討することで,商家と仕出し屋との関係性や依存の度合いについても考察を加えた。