著者
中薗 健一 高野 尊行 根本 真人 長谷川 伸之
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.761-765, 2014-12-31 (Released:2015-01-24)
参考文献数
18

集中治療室(ICU)では,時間経過とともに刻々と変化する病態に合わせた薬物治療計画が必要である。そのため,薬剤師による迅速な薬学的介入は重要であると考えられる。今回,ICU専従薬剤師による全身管理への薬学的関与の影響について検討した。方法:那須赤十字病院ICUへ入室した患者を対象とした。2010年1月から12月の270名を専従前群,2013年1月の49名を専従後群とした。薬剤管理指導記録から薬学的介入の内容,薬物治療変更の有無について比較検討した。結果:薬剤管理指導実施率は専従前64.1%から,専従後91.8%へ有意に増加した。薬学的介入による薬物治療変更は,専従前51.3%,専従後73.2%へ有意な増加を認めた。考察:ICUへの薬剤師専従化により,薬学的介入件数,薬物治療変更率はともに増加した。これより,患者の病態変化に合わせた迅速な薬学的介入を行うことができた。
著者
高野 尊行 中薗 健一 薄井 啓一郎 仲澤 恵 梅田 啓 池野 義彦 中丸 朗 阿久津 郁夫
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.287-292, 2014 (Released:2014-10-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1

海外ではClostridium difficile感染症(CDI)発症と,いくつかの抗菌薬の投与の関連性が示唆されている.そこで,当院の患者を対象とし,系統別抗菌薬投与とCDI発症との関連性について検討を行った.2005年7月から2007年12月までに,CDIが疑われC. difficile toxin A (CD toxin A)検査を実施した全ての患者のカルテ調査を行った.CD toxin A陽性のケース群と陰性のコントロール群で,系統別抗菌薬投与によるCDI発症のリスクを比較検討した.対象期間に下痢を発症しCDIが疑われ,CD toxin A検査を行った患者は269例であった.ケース群では,抗菌薬投与56例,抗菌薬未投与3例,コントロール群では,それぞれ169例と41例であった.多重ロジスティック回帰分析にて比較し調整オッズ比(AOR)を算出した結果,有意にCDI発症を上昇させた抗菌薬は,フルオロキノロン系(AOR, 9.0 [95% confidence interval, 2.7–29.9]),第2世代セファロスポリン(AOR, 7.2 [95% confidence interval, 2.4–22.1]),第3世代セファロスポリン(AOR, 4.1 [95% confidence interval, 1.4–11.8])であった.今後,多施設による研究および個々の抗菌薬とCDI発症の関連性の調査を行う必要性があると考えられた.