著者
佐藤 正恵 中谷 恭子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-56, 1992-06-30

生後1〜6ヵ月の健常児計12名(各月齢7名)とこれとほぼ同月齢のダウン症児1名およびハイリスク児5名の、大人(母親)と事物(ガラガラ)に対する「おはしゃぎ反応」の発現、発達を検討した。その結果、以下のことが判明した。1)「おはしゃぎ反応」は、まず大人のコミュニケーション作用への応答として生後1ヵ月頃初出し、それより約半月遅れてコミュニケーション作用を行わない大人にも生起するようになる。他方、事物では、3ヵ月頃生起するようになる。2)「おはしゃぎ反応」の現われは、人と事物で明確に異なる。3)活気に満ちた活動状態としてのより強い能動性が向けられる対象は、6ヵ月頃に人から事物へと変化する。4)「おはしゃぎ反応」に問題があったハイリスク児では、1、2歳代で発達の遅れが確認され、「おはしゃぎ反応」は障害の有無を診断する時の指標となりうることが示唆される。