著者
中路 富士夫 吉富 研一 山本 栄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.19, pp.3-6, 1962-11-01
被引用文献数
3

昭和36年産の水稲は当初好天に恵まれ豊作型の生育相を示していた。9月16日第2室戸台風が来襲したが,本県では風速も比較的おそく,従って当初は水稲には大した影響はなかったかに感じられたが,日時の経過につれて損傷があらわれ,過去に事例のない様相で大きな被害をあたえ,連続4年豊作の夢はむなしくやぶれ去った。なかでも潮風をまともにうけた玄海沿岸地帯は被害甚大で,収穫皆無あるいはこれに近い被害を受けたところがかなりみられた。又海岸線から遠くはなれた佐賀北部及び東部山麓にも潮風がふきこみ相当な被害をこうむった。その上品質の低下が著しく農家経済にあたえた打撃は大きかった。筆者らは佐賀農試内で行なっている気象感応試験圃場において台風にともなう被害程度を推定するため,防風極を用いて台風被害回避試験を実施したので,その結果の概要を報告する。