著者
永松 土巳 立野 喜代太
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.17, pp.6-10, 1961-10-25

著者ら(1960)は前報において,原爆稲の後代に出現した三染色体植物を,形態的に5型に分類できたとを明らかにしたが,これら三染色体植物種子の発芽性について,二三の知見を得たので,その概要を報告する。
著者
宮本 健太郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.14, pp.49-52, 1959-12-08

一般に,種馬鈴薯をやや高温下に貯蔵すると,常温貯蔵のものに較べ,その休眠は早くおわるといわれている。ところが,加温処理をする時期とよっては,その休眠明けは早くなるが,処理時期によっては逆に,却って,休眠明けがおくれる試験結果をえたのでここに之を発表する。
著者
寺井 利久 池田 貢介 三好 祐二 泉 省吾 神田 茂生 西野 敏勝 入口 義春 原 英雄 鳥居 謙吾 寺島 正彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.62, pp.27-30, 1996-05-15

長崎県北中山間地域である波佐見町における現地実証により耕転一鎮圧一播種方式の乾田直播の現地適用性とその補完技術を検討した。1.播種量は乾籾3,5程度でよかった。播種深度を3〜4?に設定できるため,ヒノヒカリでも極端な倒伏は認められず,本品種の乾田直播栽培の可能性が示唆された。収量性は1993年の低温及び1994年の高温下でも比較的高く,異常気象にも十分対応可能であり,この方法による乾田直播の現地適用性が認められた。2.播種時の降雨を想定し,乾田直播を補完する技術としての乳苗移植栽培は減収したものの,準備した催芽籾を無駄にすることなく,十分に補完できる技術としてその可能性が示唆された。3.漏水を考慮すれば,基肥は入水後,稲の2葉期頃に施肥することが可能で,乾田直播の現地での定着にはほ場の団地化並びに代掻を伴う移植とのローテーションが必要であるものと考えられた。
著者
望月 俊宏 中川 幸夫 久保 廣安
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.70-71, 1992-12-21

貝本産221品種を含む413品種を供試して,福岡県において晩播き栽培に適するダイズ品種の検索を試みた。1.生育日数からみると,日本産品種の約6%及びインドネシア産品種の約66%を除いた372品種は7月23日播種が可能と判断された。また,日本産品種の約42%は8月8日播種が可能と判断された。2.生態型別にみると,Vc及びIVcに類別されている晩生品種よりIIICあるいはさらに早生の品種のなかに晩播きに適する品種のあることが示唆されたが,生態型内の変異も大きいので,特に登熟期における日長や気温の影響について検討する必要があると思われる。
著者
原田 皓二 尾形 武文 水田 一枝
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.58, pp.37-39, 1991-12-20

1989年と1990年の2か年に福岡県下から収集した36点の種子について塩水の濃度と選別歩留り,種子の出芽歩合及び苗の生育との関係について簡単な調査を実施して,実用上許容される塩水選の濃度を検討した。
著者
高橋 将一 小松 邦彦 松永 亮一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.59-61, 2001-05-15

子実の青臭み(豆臭さ、豆腐臭さ)発生に関与する酵素, リポキシゲナーゼL-1, L-2及びL-3の全てを欠失した大豆品種は, 飲用豆乳や豆乳を素材とするデザート類に対する加工適性が高いだけでなく、小麦粉、卵などの他の食品素材と一緒に用いた場合にでも、加工食品中の過酸化脂質の生成を低レベルに抑え、風味・食味に優れた大豆加工食品を得ることができるなど、従来の大豆にない優れた利用特性が認められる(西場ら 1993, 古田ら 1993, 須田ら 1993). これまでリポキシゲナーゼ欠失大豆として「ゆめゆたか(L-2, L-3欠)」(喜多村ら 1992)と「いちひめ(全欠)」(羽鹿ら 1997)が育成されているが, 両品種の栽培適地は南東北から北関東地域に限定される. 現在, 「いちひめ」は豆乳原料として栃木県のみで生産されているため, 不作になると, 当年度における実需者の必要量を満たすことができなくなるばかりか, 安定供給の不確実性が今後の需要拡大の大きな支障となっている. 安定供給を図ることが問題解決に重要であり, 暖地での栽培に適する品種育成が要望されてきた.
著者
持田 秀之 小林 透 立石 靖 生駒 泰基
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.62, pp.71-75, 1996-05-15
被引用文献数
1

カンショの前作としては,収量面ではイタリアンとラッカセイが適していること,カンショーバレイジョ,カンショーキャベツの1年2作体系では線虫密度が高くなり,低収となることがわかった。さらに,カンショーイタリアンにおける多収は,イタリアン跡地土壌の高いカリ含量と好適な養分バランスによってもたらされていることを示唆する結果を得た。
著者
小川 義雄 佐田 利行 下山 伸幸
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.1-5, 1992-12-21
被引用文献数
1

1.平成3年の台風9,17,19号による長崎県における水稲被害について,農林水産省長崎統計情報事務所,同長崎食糧事務所の資料と水稲奨励品種決定現地調査および作況試験成績によって実態解析を行った。2.平成3年7月29日,早期水稲の出穂〜成熟期間に台風9号が五島,壱岐,県北の早期水稲地帯沿岸を通過し,普通期水稲の出穂〜成熟期間の9月14日および9月27目に台風17号および19号が本県内陸に上陸した。3台風とも大型であり,台風9号は早期水稲に風雨による被害を及ぼし,台風17号,19号は普通期水稲に対して主として潮風による被害を及ぼした。3早期水稲は,生育初期の日照不足による生育不良があったが,これに加え台風9号の影響により品質・収量がかなり低下した。また台風襲来時に乳熟期であった五島地域で穂揃期以前の生育状況にあった壱岐および平戸地域に比べて品質の低下が大きかった。4普通期水稲は,台風17,19号により県下全域で大きな被害を受けた。被害は主として潮風害による品質低下および収量低下であった。その中でも中・晩生種作付地域である諌早平坦部を中心とした東南部地域で減収,品質の低下が大きかった。また,全体的には中・晩生品種が早生品種より被害が大きかった。5.台風被害の地域差および品種間差が大きかったことについては,台風時点に早生品種は登熟が進んで被害をある程度回避したのに対して中・晩生種は出穂期〜乳熟期の最も被害を受けやすい生育状態にあったことと,他方,早生品種は主として中山間の地形的に被害回避可能な地帯に作付けされているのに対して,中・晩生種は潮風をもっとも強く受け易い地帯に作付けされており,両者の相互作用によったものと推察された。
著者
舩場 貢 泉 省吾 西村 勝久
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.6-8, 1992-12-21
被引用文献数
4

水稲品種ヒノヒカリおよびユメヒカリの作期移動試験において,両品種は出穂後の異なる生育段階で台風17号・同19号の2回の台風に遭遇した。そこで,その被害様相を明らかにするため調査を行い,次の結果を得た。1.ヒノヒカリ,ユメヒカリとも出穂後早い時期に台風に遭遇したほど登熟歩合の低下が大きい傾向が見られた。また,乳熟期以降の台風遭遇では早い時期の台風ほど減収程度が大きい傾向が見られた。2.ヒノヒカリ,ユメヒカリとも出穂後早い時期に台風に遭遇したほど整粒歩合が低下し,整粒歩合は最高約38%,最低約6%であった。3.未熟粒・奇形粒および青未熟粒の発生が多かった。未熟粒・奇形粒はヒノヒカリの6月10目植で少なく,それより遅く移植した場合には著しく増加し,台風時における穎花の発達段階によって被害が異なることがわかった。4.乳白米の発生も多く,とくに乳熟後期から糊熟期にかけて台風に遭遇すると乳白米か増加する傾向があった。5.薄茶米の発生は台風時における出穂後日数が少ないほど多かった。
著者
田淵 宏朗 田中 勝 甲斐 由美 高畑 康浩
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.81, pp.46-49, 2015-05-15

22品種・系統のサツマイモについて,「ハイスターチ」のサツマイモネコブセンチュウレースSP1・SP2に対する抵抗性遺伝子座qRmi(t)判別用DNAマーカーE33M53_090・E41M32_206の遺伝子型の決定,および,抵抗性形質の検定を行った.両者の関係を解析したところ,これらのDNAマーカーは「ハイスターチ」の後代品種・系統においてハイスターチ型のqRmi(t)を継承する抵抗性系統の選抜に使用可能であることが示唆される結果が得られた.
著者
吉岡 昌二郎 高木 文男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.13, pp.44-45, 1958-12-08

苧麻の歩留はすべて剥皮機械を用いて測定されているが,機械の性能も完全なものでなく,従って繊維が切断されたり,又人為的に損失を多くしたりする場合が考えられ,一方生育途中或は熟期に達したものも台風の為に折損し,その部位から繊維が切れて,実験結果が不正確になる場合等もあり,叉幼苗期の選抜は剥皮機械を用いられない等の点から,機械によらないで歩留を調査する方法を見出す為に2,3検討を行ったので取まためて報告する。
著者
江藤 慶一 伊藤 延久
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.17, pp.36-39, 1961-10-25

最近水稲早期米の精白歩合・食味など品質に関して批判の声が高まっている。しかし早期栽培は試験研究の日なお浅く,品質特に食味についての研究は比較的に少ないようである。そこで私達は早期米の品質改善対策の基礎資料を得るため,早期米7品種について玄米の藷特性・精白歩合・食味等予備的な調査を行なったので,その概要を報告する。
著者
紙屋 貢
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.20, pp.78-80, 1963-06-20

最近鹿児島県の本土においても甘藤の栽培が行われるようになり,一部には製糖工場も設立せられて,栽培面積も急速に増加の傾向にある。鹿児島県本土の甘熊栽培の歴史は古く,相当の栽培面積をみた時代もあったので,この機会に鹿児島県本土の甘蕉隷培の消長を明らかにし,砂糖が一部地方では重要農産物であったことをのべて参考に供したい。なおこのことについては筆者が鹿児島県農試熊毛分場場在勤時代に調査したことがあったが,未発表のまま資料が逸散してしまったが,今度鹿児島県農事調査なる資料をみることが出来たので,これを中心にし手許にある資料で急いでとりまとめることにした。
著者
松永 亮一 高橋 将一 小松 邦彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.62-64, 2001-05-15

九州で栽培されている大豆品種は九州農業試験場で育成された良質多収品種である「フクユタ力」が3分の2以上を占め, 残りのほとんどは「フクユタカ」に放射線を照射して白目化した「むらゆたか」が栽培されている. 両品種とも子実の蛋白質含粒率が高く, 主に豆腐の原料として利用されており, 納豆の原料となる小粒品種の栽培はほとんどないため, 九州の納豆製造会社では国産の小粒納豆製品の原料として北海道産あるいは関東産を使用しており, 九州で栽培できる納豆用小粒大豆品種の育成に強い期待があった. この要望に応えるために, 九州農業試験場では新たに納豆用小粒大豆品種として「すずおとめ」を育成した. 本報告では, 「すずおとめ」の主要な栽培特性を明らかにするとともに, 「すずおとめ」を原料とした試作納豆の試食アンケートを一般の消費者を対象として実施することによって, 試作納豆の官能評価を得るだけでなく, 今後の納豆用品種育成に役立てるための納豆製品に対する消費者ニーズの調査を行った.
著者
清水 康弘 安井 利昭 長谷川 航 大成 忍 白石 真貴夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.79, pp.1-3, 2013-05-15

極早生〜早生品種を比較した結果,高温登熟条件下で品質低下が少なく,収量性が高く,良食味である「つや姫」が有望であり奨励品種に採用した.
著者
市原 泰博 舩場 貢 古賀 潤弥 土井 謙児 大脇 淳一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.79, pp.4-7, 2013-05-15

1.気温と日長を用いて出穂期を予測するDVR関数式を検討した.早生品種である「コシヒカリ」,「つや姫」は気温のみまたは気温と日長を気象要素とする関数式が,中生品種である「ヒノヒカリ」,「にこまる」は気温と日長を気象要素とする関数式が出穂期を高い精度で予測することが明らかになった.2.「コシヒカリ」,「つや姫」は気温のみを,「ヒノヒカリ」,「にこまる」は気温と日長を気象要素とするDVR関数式を水稲生育予測システムに採用した.3.新たな生育予測システム用いて適作型を推定した結果,近年の温暖化が進んだ長崎県央平坦部には「ヒノヒカリ」栽培は適応しにくく,「にこまる」栽培は適応できることが明らかになった.
著者
中澤 芳則
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.80, pp.16-18, 2014-05-15

多数の品種系統を供試し,塩化マグネシウムを凝固剤として濃度を変えた豆腐を加熱絞り法で作成し,その破断応力を測定した.その破断応力の変化から凝固剤濃度を変えたときの最大破断応力を推測し,豆腐の製造条件別にタンパク質含有率との相関関係をしらべた.その結果,塩化マグネシウムを凝固剤として加熱絞り法で豆腐を作成した場合,最大破断応力とタンパク質含有率は必ずしも有意な相関関係を示さないことが明らかになった.