著者
永松 土巳 立野 喜代太
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.17, pp.6-10, 1961-10-25

著者ら(1960)は前報において,原爆稲の後代に出現した三染色体植物を,形態的に5型に分類できたとを明らかにしたが,これら三染色体植物種子の発芽性について,二三の知見を得たので,その概要を報告する。
著者
永松 土巳 大村 武 立野 喜代太
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.16, pp.6-8, 1961

1945年,長崎における原爆被爆直後,永松は該地において多数の被爆水稲種子を採取した。これら「原爆稲」は,九州大学農学部付属農場において,年々栽培され,研究が続けられたが,その後代には,種々の遺伝子突然変異のほかに,質的または,量的な染色体変異が見出された(永松1951,1956)。筆者らは,おもに相互転座などの構造雑種系統から出たトリゾーミック稲,合計38系統について,現在種々の調査研究を行なっているが,本報において,粒形質がそれぞれのトリゾーミック型によって異なっていることに着目し,分類をこころみたのでその概要を報告する。
著者
宇田津 徹朗 藤原 宏志
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.58, pp.70-72, 1991

吉野ケ里遺跡,桑田遺跡においてプラント・オパール分析による水田針探査および検出されたプラント・オパールの形状解析を行った結果以下のことが明かとなった。
著者
宮本 健太郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.14, pp.49-52, 1959-12-08

一般に,種馬鈴薯をやや高温下に貯蔵すると,常温貯蔵のものに較べ,その休眠は早くおわるといわれている。ところが,加温処理をする時期とよっては,その休眠明けは早くなるが,処理時期によっては逆に,却って,休眠明けがおくれる試験結果をえたのでここに之を発表する。
著者
寺井 利久 池田 貢介 三好 祐二 泉 省吾 神田 茂生 西野 敏勝 入口 義春 原 英雄 鳥居 謙吾 寺島 正彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.62, pp.27-30, 1996-05-15

長崎県北中山間地域である波佐見町における現地実証により耕転一鎮圧一播種方式の乾田直播の現地適用性とその補完技術を検討した。1.播種量は乾籾3,5程度でよかった。播種深度を3〜4?に設定できるため,ヒノヒカリでも極端な倒伏は認められず,本品種の乾田直播栽培の可能性が示唆された。収量性は1993年の低温及び1994年の高温下でも比較的高く,異常気象にも十分対応可能であり,この方法による乾田直播の現地適用性が認められた。2.播種時の降雨を想定し,乾田直播を補完する技術としての乳苗移植栽培は減収したものの,準備した催芽籾を無駄にすることなく,十分に補完できる技術としてその可能性が示唆された。3.漏水を考慮すれば,基肥は入水後,稲の2葉期頃に施肥することが可能で,乾田直播の現地での定着にはほ場の団地化並びに代掻を伴う移植とのローテーションが必要であるものと考えられた。
著者
望月 俊宏 中川 幸夫 久保 廣安
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.70-71, 1992-12-21

貝本産221品種を含む413品種を供試して,福岡県において晩播き栽培に適するダイズ品種の検索を試みた。1.生育日数からみると,日本産品種の約6%及びインドネシア産品種の約66%を除いた372品種は7月23日播種が可能と判断された。また,日本産品種の約42%は8月8日播種が可能と判断された。2.生態型別にみると,Vc及びIVcに類別されている晩生品種よりIIICあるいはさらに早生の品種のなかに晩播きに適する品種のあることが示唆されたが,生態型内の変異も大きいので,特に登熟期における日長や気温の影響について検討する必要があると思われる。
著者
原田 皓二 尾形 武文 水田 一枝
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.58, pp.37-39, 1991-12-20

1989年と1990年の2か年に福岡県下から収集した36点の種子について塩水の濃度と選別歩留り,種子の出芽歩合及び苗の生育との関係について簡単な調査を実施して,実用上許容される塩水選の濃度を検討した。
著者
高橋 将一 小松 邦彦 松永 亮一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.59-61, 2001-05-15

子実の青臭み(豆臭さ、豆腐臭さ)発生に関与する酵素, リポキシゲナーゼL-1, L-2及びL-3の全てを欠失した大豆品種は, 飲用豆乳や豆乳を素材とするデザート類に対する加工適性が高いだけでなく、小麦粉、卵などの他の食品素材と一緒に用いた場合にでも、加工食品中の過酸化脂質の生成を低レベルに抑え、風味・食味に優れた大豆加工食品を得ることができるなど、従来の大豆にない優れた利用特性が認められる(西場ら 1993, 古田ら 1993, 須田ら 1993). これまでリポキシゲナーゼ欠失大豆として「ゆめゆたか(L-2, L-3欠)」(喜多村ら 1992)と「いちひめ(全欠)」(羽鹿ら 1997)が育成されているが, 両品種の栽培適地は南東北から北関東地域に限定される. 現在, 「いちひめ」は豆乳原料として栃木県のみで生産されているため, 不作になると, 当年度における実需者の必要量を満たすことができなくなるばかりか, 安定供給の不確実性が今後の需要拡大の大きな支障となっている. 安定供給を図ることが問題解決に重要であり, 暖地での栽培に適する品種育成が要望されてきた.
著者
手塚 隆久 松井 勝弘 原 貴洋
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.73, pp.37-40, 2007

「そば中間母本農1号」は自殖性の近縁野生種F.homotropicunに普通ソバの「壮丹そば」を2回交配して選抜育成された.1遺伝子に支配される自殖性を示し,花型は雄しべと雌しべの長さがほぼ等しい長等花柱花である.この花柱性の表現型は自殖性選抜マーカーとして利用できる.近縁野生種由来の子実脱落性を排除してあるので,普通ソバと交配しても後代で子実非脱落性を示す.生育は旺盛でないが,種子の大きさは「牡丹そば」並みである.自殖性の育種素材として利用できる.
著者
持田 秀之 小林 透 立石 靖 生駒 泰基
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.62, pp.71-75, 1996-05-15
被引用文献数
1

カンショの前作としては,収量面ではイタリアンとラッカセイが適していること,カンショーバレイジョ,カンショーキャベツの1年2作体系では線虫密度が高くなり,低収となることがわかった。さらに,カンショーイタリアンにおける多収は,イタリアン跡地土壌の高いカリ含量と好適な養分バランスによってもたらされていることを示唆する結果を得た。
著者
小川 義雄 佐田 利行 下山 伸幸
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.1-5, 1992-12-21
被引用文献数
1

1.平成3年の台風9,17,19号による長崎県における水稲被害について,農林水産省長崎統計情報事務所,同長崎食糧事務所の資料と水稲奨励品種決定現地調査および作況試験成績によって実態解析を行った。2.平成3年7月29日,早期水稲の出穂〜成熟期間に台風9号が五島,壱岐,県北の早期水稲地帯沿岸を通過し,普通期水稲の出穂〜成熟期間の9月14日および9月27目に台風17号および19号が本県内陸に上陸した。3台風とも大型であり,台風9号は早期水稲に風雨による被害を及ぼし,台風17号,19号は普通期水稲に対して主として潮風による被害を及ぼした。3早期水稲は,生育初期の日照不足による生育不良があったが,これに加え台風9号の影響により品質・収量がかなり低下した。また台風襲来時に乳熟期であった五島地域で穂揃期以前の生育状況にあった壱岐および平戸地域に比べて品質の低下が大きかった。4普通期水稲は,台風17,19号により県下全域で大きな被害を受けた。被害は主として潮風害による品質低下および収量低下であった。その中でも中・晩生種作付地域である諌早平坦部を中心とした東南部地域で減収,品質の低下が大きかった。また,全体的には中・晩生品種が早生品種より被害が大きかった。5.台風被害の地域差および品種間差が大きかったことについては,台風時点に早生品種は登熟が進んで被害をある程度回避したのに対して中・晩生種は出穂期〜乳熟期の最も被害を受けやすい生育状態にあったことと,他方,早生品種は主として中山間の地形的に被害回避可能な地帯に作付けされているのに対して,中・晩生種は潮風をもっとも強く受け易い地帯に作付けされており,両者の相互作用によったものと推察された。
著者
湯田 保彦
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.20, pp.40-41, 1963

作物栽培における除草剤の重要度は極めて大きく,最近新しい除草剤が単体,または混合剤として次々に登場しており,各地でその効果について検討されているが,MUPC(有効成分としてOMUを16.5%,BiPCを11.5%含む混合剤)もその1つで,これは非ホルモン型の移行性除草剤で含有される両成分のうちOMUは気温に左右されることが少ないが,BiPCは夏の高温時には揮発が多いためか除草効果が低減しやすく,夏作物よりも冬作物の除草剤として高い除草効果を示すといわれている。本場では1961年の夏からほ場試験で甘しょ,てん菜,麦,なたね等に対して供試し,'62年には更に乾田直まき水稲に対しても試験してその除草効果および作物の生育,収量におよぼす影響について検討したのでこれらの成績についてその概要を報告したい。
著者
宇田津,徹朗
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.58, 1991-12-20

吉野ケ里遺跡,桑田遺跡においてプラント・オパール分析による水田針探査および検出されたプラント・オパールの形状解析を行った結果以下のことが明かとなった。
著者
長谷川 利拡 高野 順也 崎原 健 三橋 民和 大嶋 和則 片野 学 仲里 長浩
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.60, pp.9-12, 1994

九州の主要良食味品種のミネアサヒ,ヒノヒカリ,ユメヒカリおよび沖縄の主要品種のチヨニシキの出芽期~二次枝便分化期までの発育特性を,堀江・中川の発育動態モデルを用いて解析した。データベースは,阿蘇と西表における作期移動試験である(n=13)。本モデルは,37~114日にわたる発育日数の変動を3,7~5,2日の精度で推定した。ミネアサヒとヒノヒカリの発育速度は気温に対してほぼ直線的な増加を示し,日長の影響は14時間以上においてのみ認められた。一方,チヨニシキおよびユメヒカリの発育速度は,気温に対して23℃あたりから頭打ちを示し,広い範囲の日長に反応することがわかった。
著者
舩場 貢 西村 勝久 泉 省吾 三好 祐二
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.60, pp.23-26, 1994

良食味品種の収穫適期と判定法について検討した。1.成熟期前5~7日の刈取では収量の低下は少なかった。2.刈取が早い場合は粒張不足により検査等級は低下した。刈取が遅い場合はうす茶米・乳白米に加えて,2次枝梗籾由来と考えられるその他未熟粒・奇形粒が増加し,その結果整粒歩合が低下し,検査等級は低下した。3.玄米重と検査等級から総合的にみて,収穫適期はコシヒカリでは-5日~成熟期までの6日闘,ヒノヒカリ・ユメヒカリでは-6日~+3日までの10日間であると判断した。4.上記の収穫適期の判定法として,出穂後の積算気温,籾水分および最長稈穂の稔実黄化籾割合を示した。
著者
舩場 貢 泉 省吾 西村 勝久
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.6-8, 1992-12-21
被引用文献数
4

水稲品種ヒノヒカリおよびユメヒカリの作期移動試験において,両品種は出穂後の異なる生育段階で台風17号・同19号の2回の台風に遭遇した。そこで,その被害様相を明らかにするため調査を行い,次の結果を得た。1.ヒノヒカリ,ユメヒカリとも出穂後早い時期に台風に遭遇したほど登熟歩合の低下が大きい傾向が見られた。また,乳熟期以降の台風遭遇では早い時期の台風ほど減収程度が大きい傾向が見られた。2.ヒノヒカリ,ユメヒカリとも出穂後早い時期に台風に遭遇したほど整粒歩合が低下し,整粒歩合は最高約38%,最低約6%であった。3.未熟粒・奇形粒および青未熟粒の発生が多かった。未熟粒・奇形粒はヒノヒカリの6月10目植で少なく,それより遅く移植した場合には著しく増加し,台風時における穎花の発達段階によって被害が異なることがわかった。4.乳白米の発生も多く,とくに乳熟後期から糊熟期にかけて台風に遭遇すると乳白米か増加する傾向があった。5.薄茶米の発生は台風時における出穂後日数が少ないほど多かった。