著者
中道 久美子 中村 文彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.867-872, 2014

南米コロンビアの中規模都市であるメデジン市では、所得格差とスラム街形成、自家用車やオートバイの増加といった都市交通問題を抱えていたが、約20年間で都市再生と都市交通システムの戦略的整備に取り組み、革新的な成長を遂げた。本論文では、メデジン市の現代都市交通システムの動向について、現地ヒアリング調査に基づいてとりまとめ、今後の都市交通戦略のあり方について示唆を得ることを目的とする。具体的には、高架鉄道、ロープウェイ、BRT、LRT、自転車シェアリング、エスカレータ等の現代的な都市交通システムに関して、現地自治体へのヒアリングや利用者へのインタビューを通して、動向をまとめるとともに、南米のその他の都市との体系的比較も行った。それらの結果から、機動力のある実働的な自治体組織、低費用かつ論理的に矛盾のない導入順序、市民が誇りを持つよう重視していることなどの特徴が見られ、途上国の交通戦略やわが国の地方都市の交通問題解決に際しての知見を得た。