著者
鈴木 理恵 齊藤 利雄 丸山 幸一 服部 文子 藤井 達哉 熊谷 俊幸 脇坂 晃子 向田 壮一 糸見 世子 白石 一浩
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.342-349, 2018 (Released:2018-09-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

【目的】Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) 患者の教育への支援に向けて, 実際の学校生活についての現状と課題を明らかにすることを目的とした. 【方法】小学生から20歳以下の在宅で生活するDMD患者の保護者を対象として, 5府県の7施設でアンケート調査を行った. 【結果】DMD患者115名の保護者から回答を得た. 小学校入学時の所属は一般小学校の通常学級が60%を占め, 特別支援学校は5%であった. 特別支援学級への転級や特別支援学校への転校をする患者が存在し, その時期は小学5年生が最多であった. 小学4年生から体育の授業での見学が増加し, 保護者から見て学校生活が楽しそうだったという回答が減少した. 中学生以上の患者70名では, 中学校入学時の所属は特別支援学校が60%を占め, 一般中学校の通常学級は13%であった. 保護者の77%が医師と学校の関わりを希望していたが, 希望した保護者の52%が実際には関わりがないと回答した. 【結論】一般小学校の通常学級へ就学するDMD患者は多いが, 歩行が困難になる小学4年生頃から一般の学校での生活が困難になってくる現状があり, 患者・保護者と医療, 教育が情報を共有し, 病状に応じて教育環境を調整していく必要がある. 保護者の希望に見合うほどの十分な医師の学校教育への関わりはなされておらず, 医療と教育の連携体制の構築が望まれる.