- 著者
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丸山 拓朗
竹内 大樹
阿久澤 弘
佐藤 薫子
中村 崇
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement
- 巻号頁・発行日
- vol.2015, 2016
【はじめに,目的】近年,職員研修制度の報告ではOff-the-Job TrainingだけでなくOn-the-Job Trainingの有効性が数多くされている。当法人でも,新人理学療法士(以下,新人PT)に対する臨床指導の効率を向上させる目的で,臨床指導を行うOn-the-Job Trainingと講義やcase studyを中心としたOff-the-Job Trainingを相互にリンクさせる新人教育システムを今年度より新たに取り入れた。本調査の目的は,アンケートによる意識調査を行い,今後の新人教育システム運用へ向けた改善策の参考にすることである。【方法】対象は当法人全6施設リハビリテーション科に所属する新人PT18名とした。アンケート回収率は100%で有効回答率も100%であった。質問内容は,学習意欲項目:2問,理学療法評価項目:6問,治療項目:3問,保険制度項目:2問,コミュニケーション項目:2問,リスク管理項目:4問,合計19問のアンケートとした。回答は,1:思わない,2:少し思う,3:思う,4:強く思う,の4段階を選択形式とした。アンケートは,新人教育システムが実施される前(以下,実施前群)と新人教育システム実施6ヶ月経過時点(以下,経過群)の2回行い,各質問項目における2群間の変化を比較検討した。統計解析は,SPSSを使用しWilcoxonの符号付順位和検定にて有意確率は5%とした。【結果】全19問のうち,14問で2群間に有意な差が認められた。有意差が認められなかった質問は,学習意欲項目の「臨床で生じた疑問を解決しようと行動しているか否か」,理学療法評価項目の「問題点の抽出が出来るか否か」,リスク管理項目の「転倒予防」「内部疾患のリスク管理」「感染対策」に関する質問の以上5問であった。【結論】有意差が得られなかった5問のうち,学習意欲項目の「臨床で生じた疑問を解決しようと行動しているか否か」の質問は両群ともに中央値が3.00を示した。これは,新人教育システム実施に関わらず新人PTは臨床で生じた疑問に対する解決意欲を持っていると考えられる。また,理学療法評価項目において「問題点の抽出が出来るか否か」の質問においては,6ヶ月経過後も問題点抽出に対して苦手意識を抱いている新人PTが多い。問題点抽出は,case studyの際に多くの新人PTが指摘される部分であり,新人PT自身が課題として捉えていることが示唆された。今後は,検査測定や理学療法評価の指導だけでなく,問題点抽出からその順位付けの捉え方に至るまでアドバイスを実施していく必要がある。リスク管理項目は,転倒予防,内部障害のリスク管理,感染対策ともに2群間に有意な変化がなく,これらの項目に対して新人PTは知識の不足を感じていることが分かった。よって,今後,新人PTのレベルに合わせた講義内容や実際を想定した研修内容にするといった工夫が必要になると考える。