著者
岸本 信一 田辺 俊哉 丸山 昭吾 岸下 明弘 永嶋 伸也
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.750-755, 1996-07-10
参考文献数
8
被引用文献数
1

エタノール-水混合溶媒中での晶析によりエタノール和物結晶を形成する, ヒスチジン・ケトイソカプロン酸塩について, 工業的な製法開発を前提とした脱エタノール法の検討を行った.<BR>ヒスチジン・ケトイソカプロン酸塩のエタノール和物結晶は, 高湿度条件下 (例えば313K, 60%相対湿度) で, 結晶転移を伴って速やかにエタノールが離脱し, 無溶媒和型の結晶となった.なお, エタノール和物結晶において, 粉末X線回折の2θ= 9.0° (CuK<SUB>α</SUB>) のピーク高さが比較的高い場合には, 高湿度条件下において結晶転移終了と同時に脱エタノールが完了したが, このピークが低い場合には転移終了後も1wt%程度のエタノールが残留し, 以降緩慢な低下傾向を示した.脱エタノール性に優れる, 結晶性の高い結晶を再現性良く得るためには, 晶析時にエタノール添加によって大過飽和を急激に生成するよりも, 冷却操作によって過飽和生成速度を緩やかに制御することがより効果的であることを見いだした.