- 著者
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伊與田 浩志
小西 洋太郎
井上 保
吉田 香梨
西村 伸也
- 出版者
- The Society of Chemical Engineers, Japan
- 雑誌
- 化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.2, pp.167-172, 2006-03-20
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
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アマランスの種子は栄養価が高く,また適切な条件下で加熱すると急激な水分蒸発と共に膨化(ポッピング)する性質を有しており,膨化は消化性が改善されるなど有用な加工法の一つである.本研究では,膨化に大きな影響を与える種子含水率に注目し,その調整と測定方法,ならびに機械的強度に与える影響について検討した.さらに,種子の初期含水率と気流温度が膨化による体積増加ならびに膨化後の性状に与える影響について,熱風として高温空気と過熱水蒸気を用いて流動床型の膨化装置により調べた.その結果,種子の初期含水率が約0.15,気流温度が約260°Cの高温空気中で,体積増加率は約8.7倍と最も大きくなった.また,気流温度が高いほど種子の変色が激しいことがわかった.一方,過熱水蒸気中では,体積増加率が最大となる初期含水率は,空気の場合よりもわずかに低くなる傾向がみられ,最大の体積増加率も空気中に比べてやや小さくなった.その原因は水蒸気の初期凝縮により,アマランス種皮の機械的強度が低下したためと考えられる.また,アマランス種子の水分吸着等温線より,体積増加率が最大となる含水率は,相対湿度の増加に対して,平衡含水率が急増し始める直前の含水率付近であり,それ以上の含水率では,体積増加率が減少するとともに,弾性率低下が顕著となることがわかった.また,これらの結果から最適な含水率に調整するための指針を示した.