著者
丸山 松彦
出版者
玉川大学芸術学部
雑誌
芸術研究 : 玉川大学芸術学部研究紀要 (ISSN:18816517)
巻号頁・発行日
no.4, pp.13-24, 2012

本論文は映画《トイ・ストーリー》のキャラクターが、オモチャらしい人格を手に入れる過程を考察することで、アニメにおけるキャラクターはアイデンティティを獲得できるのかを明らかにしたい。あるいは、獲得できない理由を明らかにしたい。 また《トイ・ストーリー》には作品世界と現実世界を巧妙につなぐ仕掛けが施されていることにも注目する。それはアニメの中でキャラクターはオモチャであるが、現実世界でもオモチャとして販売されていることである。これは他の作品における、オモチャとキャラクターの関係とは異なった特異な状況といえる。 本論文はこの2点を軸に考察することで、キャラター、オモチャがいかなる関係をもち、どのように作品とその世界観を構築しているかを明らかにしようとするものである。 なお筆者は博士論文において写真における差異の問題について論じたが、本稿ではこの理論をアニメの分野に適用するものとする。