著者
丸山 正博
出版者
拓殖大学
雑誌
拓殖大学経営経理研究 (ISSN:13490281)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.77-91, 2007-03-25

書籍販売は市場全体では縮小傾向にあるが,ネット通販市場は拡大している。そこで(1)多品種小ロット生産などの商品特性,(2)再販制度といわゆる委託販売制度による取引システム,(3)大手取次のチャネル支配という流通システム,という書籍の流通構造を踏まえた上で,版元と書店が事業性の改善のために採りうる対応策を考察する。そして版元にとってはオンデマンド出版やデジタル書籍の積極的な導入,中小取次との取引や書店との直接取引の積極化,再販制度の不採用か少なくとも時限再販制度への移行が有効な施策であり,書店にとっては販売規模に応じた品揃えの主体的な選択と絞り込み,これを可能にするための返品を前提としない買切制度と,再販制度に代わる時限再販制度の積極的採用が有効な施策であると指摘した。